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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人

「くっ……」


 昂ったその勢いで、俺は亜樹を抱いてしまおうかとも悩む。

 しかしながら、行為が終わった後で改めて話をするのは、些か気が引けていた。亜樹が俺の話を聞いてどんな反応を見せるのか。俺にとっては、それを推し量ることが難しい。


 ちゅぷ、ちょぷ――と、擦れる唇の快感に苛まれながら、俺は彼女の望むまま話を切り出していた。


「実は、さ――」


「ちゅ――なぁに?」


「俺、今日――」


「ぅん――?」


 長い舌をペロリと亀頭に押し当てながら、亜樹はじっと俺の顔を眺める。

 その瞳を見つめ返し、俺は取り留めもなく――告げた。



「――会社を、辞めちまったんだ」

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