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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと



 私は、下腹部の奥に妖しい疼きを覚えていた。


 お兄様はふみ子をアヌスまで開拓すると、直美を口直しに使いたがった。


 私はまづるさんとマンションを抜けて、彼女の屋敷に上がり込んだ。


「まづるさん……」

 変わらず白とピンクが多くを占める彼女の私室で二人きりになったのは、三度目くらいか。

 私は薄紅のブラウスの袖にまといついて、聡明な親友にキスを求めた。花が受粉するように、当然のように触れた唇。私の官能はいやが上にも逸って、まづるさんに胸をすりつける。


 ちゅっ……ちゅ…………


「大人や庶民に、欲情しないんじゃなかったの?」

「ん……っ、はぁっ、まづるさんに……命令されたり、いじられてる子達を見たら……」

「見たら?」


 玲瓏な奥二重に覗く瞳が、私を抱く。

 まづるさんが私の頰に指を掠め、手根部で撫で、髪を優しくとかしてゆく。


「私も、あんな風にされたくなるわ……」

「仔猫ちゃんはお友達だよ。一生」


 私の背中を、ファスナーの下りる音が立つ。

 まづるさんの腕の中で、私は恐縮した仔猫のようにおとなしくなる。

「紙約束のパートナーを持つ気なんてないんでしょ?」


 私の脚と脚の間は濡れていた。

 まづるさんは、露出する前に先走っていた私の乳首をさくらんぼのようだと笑って舌に転がし、私の秘境に指を沈めた。

 完膚なきまで余分な動きを排除した、鋭敏な動き。激しく優しく膣内(なか)を乱すその指は、嵩高なだけのお父様やお兄様のディルドにも、有本さんら経験を積んだ女の指にも、強制的な劣情に至らしめる性具にも得られなかった陶酔に、私をさらう。



 まづるさんのキスなしでは、指なしでは、私の肉体は充足しない。何に補翼するか説明し難い存在感さえ、私の快楽に不可欠だ。
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