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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと







 痺れた下半身を引きずって、私は唯子ちゃんの家を出た。


 度々利用している地下鉄線へ向かう途中、ふと、公園の隅に女子中学生らの姿が見えた。



 名門カトリック系女子中学校の、セーラーカラーが特徴的な制服だ。


 珍しくもない光景だ。

 珍しくもない光景に、私の足は縫いとめられていた。



「がめつい家畜。あんた姫猫お姉様のお宅にご厄介になっているだけで、本当は血の繋がりなんかない、みなしごでしょう」

「ありえないわ。こいつが本当にお姉様の妹さんなら、もっと美しく、高貴で、お姉様にあんな口を利いたりするはずないもの」


 過不及ない家庭の子女特有の情緒を連れた少女達は、ひときわ小さな正鵠に群れていた。

 肩にかかるシャギーの黒髪に、平らな肢体──…正鵠の方も、見たところ一年生くらいだ。その素肌ははっとするほど清らだが、顔かたちはあどけなく、いっそ野暮ったい。俯いて、時折おずおずと友人らを瞥見する彼女の気色は、遠目に見ても陰気だ。



「何とかおっしゃい」

「ぁっ」

「きゃあああああっつっ」


 三人組の一人が正鵠のスカートを舞わせた瞬間、彼女らから悲鳴が上がった。

 正鵠は、スカートの中にストッキングも履いていなければ、パンティもつけていなかったのだ。
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