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第8章 《レッスン―――…》

正午過ぎ椅子に座ったまま上の空の菜々美に陽子は話しかけた。

『昨夜電話してもメールしても返事なかったけどお楽しみなら、
朝から落ち込んだ顔をしないでしょっ。
昨日の昼休みからおかしいよ？』
『言いたいけど何から伝えていいかわからない』
『何それ？
ランチしながら聞いてあげるから外出よう』
『食べたくない…』
『菜々美！
じゃあさ下でオムライス、好きでしょ』

陽子の性格だと承諾するまで動かないだろう。

社員食堂へ向かう間に高瀬を見かけた。

『高瀬か』
『感じ悪いよ、高橋。
なぁ今夜の合コン高橋ちゃんも来ない？』
『はああ！？
あたしには遥斗がいるから間に合ってますっ、
しかも高橋ちゃんって何？』
『ちゃん付けすると親しげっぽくね？』
『遥斗なら許すけどそれ以外ならノーサンキューよ』『彼氏一筋なんだ？
社食早く行かないと席なくなるし。
江崎さん、って事で今夜よろしく』

オーダーの長い列に並ぶ高瀬を菜々美は少し離れたとこから眺めた。

高橋ちゃん、か…
「ちゃん付けすると親しげっぽくね？」
あたしには一度もちゃん付けしてはくれなかったね…高瀬さんに未練はないけど菜々美ちゃん・江崎ちゃんって呼んでほしかった！
区別されると傷つくの…

今夜の合コン？
相沢さんには約束したけど高瀬さんが一緒なの？
なんか嫌な予感しかしない。

『ちょっと！菜々美どういう事っ！合コンなんて聞いてない！
する必要ないでしょ！？』
『………あるもん』

失恋だから…

食事後に人気のない会議室で陽子はイライラとテーブルを叩いた。
『相沢の誘い？
菜々美を嫌ってるのに誘うなんておかしいと思わないの？』
『う…ん…』

あたしだって嫌な予感しかしない…

『結城さんは知ってるの？』
『ううん…もう関係ない…』

ううん…
結城さん抱きしめてください！