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《愛撫の先に…》
第3章 《胸の思い…》
車はスイートタイムに向かうわけでもなく、
彼女のマンションに向けて走らせていた。

『あのあたしここから1人で帰れます』
『女性を1人きりで帰す事はしないつもりです』

『…あの日助けていただいたお礼を言いたくて。
あなたを嫌いだなんて言った事も謝りたくて…』

『君は素直で嘘がつけない性格ですね。
大嫌いだと言う男にそれだけを言いに?』
大嫌いを強調する結城は気にしていたらしい。

『デートじゃなかったんですか?
今からでも彼の家まで君がナビをしてくれるなら送りますよ。
大嫌いな俺とのご飯はどうでしたか?』

『大嫌い大嫌いと強調しないでください。
高瀬さんとは今日は約束していません』

『ふぅん…』
根に持つなんてひどい…
あたし謝ったのに…

『しかし君もご意見ボックスにあんなストレートなメッセージをくれるなんて、大胆ですね』

『あれは陽子がっ…』

『またしても陽子さん?
じゃあ彼女もそそっかしい。
サイトには当ホテルとは別にスイートタイムの項目があったでしょう。
君の信じない予言と占いページがね。
今度があれば俺へのメッセージはそこに書いてください。
そこなら俺しか見ませんからね』

先ほどの穏やかな雰囲気とは違い菜々美が言ったあの言葉に関すると、
結城の態度は攻撃的にすら感じた。

『怒らないでください…あたし謝ったのに』

『君の処女を奪ったのは俺です。
だから彼との恋が上手くいくようにサポートしてあげますよ』

まっすぐ前を見ていた結城は体の向きを変えた。

あごにあてられた指先!

唇に温かく柔らかい感触でキスをされているのがわかった。

『…ゆう…き…さ…』

ゆっくりとゆっくりと貪るような動きに顔もやや傾いて。

菜々美の体から力がぬけた。
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