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《愛撫の先に…》
第3章 《胸の思い…》
抵抗しなきゃ…
彼を振りほどいて車から降りなきゃ…
ここからだとマンションまで歩いて帰れる距離だもの…

そんな事を思う菜々美だが結城の舌が、
彼女の舌を絡めとり時々息継ぎをするかすかな音が思考を止める。

髪の感触?
彼女は目を開けた。
目の前に彼の顔があり唇を貪っている。
その彼がシュシュとヘアピンを取り去り髪をほどいていたのだ。

もがく彼女に気がついた結城は小さく呟いた。
『キスの途中ですよ…菜々美ちゃん』
『名前…』

『君を抱いたあの日予言が見えなくて俺は不調だと思えて。
だけど次の日依頼人を抱いてクリアに予言が見えたんです。
だけど今…君への予言が見えない』
結城は菜々美の唇を指でなぞり見据えた。

『なぜなんだろう…
君とのキスは気持ちが良いんだ…
だけど予言は見えてこない…』

なに?
こんな話あの夜にも聞いた…
『そんな事あたしに言わないで…』
『見えないのは君とのキスだけみたいで…
何故なんだろう…
俺は君の恋を応援したいのに…』
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