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危険な香りに誘われて
第28章 桜
岡崎の家に楽しい思い出をたくさん残そう。
いつも笑い声が響いている家にしよう。
庭の桜、綺麗だねって、毎年一緒に見よう。
真紀は、賢也の手に自分の手を重ねた。

「毎年、満開になったら、ここで写真撮ろうね」

「ああ」

「じゃあ、撮りますよ」

白鳥の呼びかけで二人は、カメラに顔を向けた。

「あ、はい」

クンッと何かが真紀の髪を引っ張った。

「痛っ」

「あ、優也」

紅葉のような小さな手で、真紀の髪をしっかり握って離そうとしない。

「あーあー、キャッキャッ」

「きゃーっ、優也、髪引っ張っちゃダメーっ。痛いよー」

パシャッ。
風に乗ってシャッター音が聞こえた。

「キャーッ、白鳥さん。こんなの撮らないでーっ」

「はははは」

賢也は、おかしくて声を上げて笑った。
それにつられて優也もはしゃぎ声を上げる。
二人が、笑っているのが嬉しくて、真紀も笑いだした。

その様子を見て白鳥は、シャッターを何度も押した。
毎年、桜の下で笑い声を聞くことになるのだと思いながら。





fin




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