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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––



リリアは首を振ってそれから遠ざかる



「しないって言ってるでしょう」

「なんだ、私が女の肌の色を気にするような男だと思っているのか」

「そういう意味じゃなくて……というか、まさかそれで外に出るの?」



リリアはレオンが手に持ったシーツなどの寄せ集めを指差した

それは家具の足に始まり、窓を出て階下まで繋がっている

ここは三階だ



「無茶よ!」

「無茶じゃない。いつもやっていることだ」



レオンはリリアの腕を首に回させ、無理矢理に抱き上げた



「いつもって、いつもは一人なんでしょう! 今日も一人で行ったら良いじゃない!」

「お前と一緒でなければつまらない」

「……!」

「暴れると落ちるぞ」



レオンは手作りの綱を手に取り、窓枠に外を背にして立つ

だが掴まっているリリアには諸に景色が見えてしまい、その高さに彼の首を絞めんばかりにしがみついた



「やっぱり無理……」

「大丈夫だ、目を瞑っていろ」



レオンはそんな彼女にお構い無く足を下に伸ばした



「きゃあっ!」



彼の足が壁を蹴る

その度に二人の体は大きく揺れ、涙目になるリリア



「やっぱりっ…貴方なんかっ…大っ嫌いよっ……きゃっ!」



最後にレオンの足が柔らかく地面に降り立ち、脱出は成功したのだった


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