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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々



「それより、今日はもう疲れたでしょう? 早く寝た方が良いわ」



二人は空いた皿などを持って立ち上げる



「待って、お願い一人にしないで……」

「でも……」



困ったように顔を見合わせる二人



「……ごめんなさい。もう寝るわ」



彼女たちにも決まった仕事があるのだと、その顔を見て改めて気が付いた

下を向いてしまったリリアに彼女たちは申し訳なさそうに笑うと、



「また時間があったら来るわ。その時はあなたの話も聞かせてね」



そう言われてリリアはぱっと顔を上げる



「ええ、ぜひ! いつでも来て!」



使用人二人はそんな彼女に笑って手を振り、部屋を出て行った



「……」



部屋の中が一気に寂しくなる

リリアは空間の広さからくる寒さを避けるようにベッドに潜り込んだ

何日かぶりのベッドだ

柔らかく、温かいその感覚にリリアはゆっくりと目を閉じた







「……寝れない」



落ち着いてしまうほどに、この数日に起こった様々な出来事を思い出してしまう

リリアは何度も寝返りをうちながら懸命に眠りにつこうと努力した

だが瞼の裏には決まって、最後に見た父の姿が浮かんでくるのだった


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