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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々



そのままどれほどの時間が経っただろうかーーー

窓から覗く月の位置が大きく傾いてきたことにリリアが気がついた頃、部屋の扉が微かな音を立てながら開いた



"誰……!?"



リリアは入ってくる人物に背を向けながらベッドの中で両手を固く握り合わせる

使用人の二人が戻って来たのだろうか

いや、いくらなんでもこんな真夜中には来ないだろう



だとすれば、こんな時間に自分の寝室を訪れる者はただ一人ーーー



「リリア」



赤の魔物、だけーーー


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