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自殺願望~ねこと私~
第3章 逝く
その夜、私は逝こうと思った。

手首に刃物を密着させて優しく惹(ひ)いた。
赤い線が浮き上がった。
そのうちにポタポタと滴り落ちた……

絵の具よりも赤くて綺麗。

横になって心臓より高い位置に手を伸ばすと勢いは薄らぎ、低くするとまた、ほとばしる。

その様子は愉快だったけど、
痛い……

たった数ミリの深さの傷なのにちゃんと痛い。


意味がわからない。


なんで、私があんな汚い男のせいで痛い思いをしなくちゃいけないのか……






明け方に母親が帰ってくるとシーツが赤く染まっていた。

「遊戯んでただけだよ」
私は母親に向って可笑(わら)いなから云った。



夜間診療の病院へ行き、母親は丁寧に医者に説明した。
「遊んでたら事故で……」って。





夜間病院で面白いものを見た。

救急車が入り口にものものしく停まって、中から手首に無数の赤い線の入った女が担架にのせられて運ばれてきた。

なぞっただけの私よりも薄い薄い薄っぺらい傷。

あんなに薄くどうやったら切れるのかって訊きたくなるほどの傷。

薄い壁の診療室から「また切っちゃったの?」って看護師の声がした。

あんな風になるくらいなら死んだほうがましだと思ったから、それ以来手首を切ることは絶対しない。





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