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横浜発 7:54
第6章 下
「そしてごめん」
「え・・・」

「会社の子の言葉で傷ついたんだよな」
「・・・・」

「何かあったって、すぐに気付いて否定してやれなくてごめんな」
「ううん・・・・」

「ごめん」

ごめん。矢野さんは私を抱きしめながら何回も何回もそう言った。

ごめんなさい。と私は1回だけ小さく言った。
聞こえるか聞こえないかのその声に
矢野さんの力はまた強まった。

本当は、まっすぐに矢野さんに確かめればいいことだったんだろう。
「私のために無理してない?」
って。

でもそれがはっきり聞ける程の時間をまだ私たちは一緒に過ごしていない。

その2分が私たちにとってどんなに大事な時間なのか。
お互いに言葉に出さなくても感じていた。

だからお互いにその時間がなくならないようにしただけ。
矢野さんは無理をして
私はそれを聞けなかった。

秒針が2回時計を回るだけ。
あっという間の120秒。

その2分は私たちの大切な大切な時間なんだ。

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