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砂の人形
第6章 自動人形
 東から太陽の光が追いついてくると、砂漠の空気は一転した。大地が燃えるように輝き始めて、とても目を開けていられない。息をするのも苦痛なほど、空気は乾いて熱かった。

 私たちは砂丘の西側を回り込み、日陰で駱駝を降りた。テルベーザは砂丘の裾野を掘り返して、そこに天幕を建ててくれた。

「砂を浴びてください。掘ったばかりの砂は冷たくて気持ちいいですよ」
「あなたが先に浴びたら? 汗かいてるじゃない」

 テルベーザは、いつもの皮鎧を脱いで、ねずみ色に染めたズボンに白いシャツという格好だった。それでも、肌にはじっとりと汗が浮いている。

「しかし、姫様には早めに休んでいただかなくては」
「じゃ、一緒に浴びる?」

 私の言葉にテルベーザは息を飲んだ。珍しく、動揺しているのが分かった。
 砂浴びは、普通、他人に見せられるようなものじゃないもの。裸になって、体中を砂に擦り付ける姿は、あんまりにも……。

「では、お手伝いしましょう」

 当然、テルベーザは断ると思っていた。みっともない格好を見せるものじゃないって言って。

 易々と私を抱き上げて、テルベーザは掘り起こした砂の上に向かった。その上に私を降ろすと、私の服に手をかける。

「ちょっと……テルベーザ!」
「きちんと綺麗にしておかないと、ペテ様に嫌われますよ」
「分かってるわよ、ちゃんと自分でするから……」
「一緒に、と言ったのはあなただ」

 そうだけど。それに、望んでいないと言ったら嘘になる。

 体を覆う布を全て取り払うと、テルベーザは私の髪を纏めて縛った。それから砂の上に、無理やり押し倒される。彼の傷だらけの指が肩に食い込んで。背中を打って、息が詰まる。

 テルベーザは、苦しそうに目を細めて私を見下ろしていた。冷たい砂をすくって、私の首筋から胸に落とす。それからてのひらを押し当てて、強く撫でつける。首の付け根から鎖骨、肩、二の腕、また鎖骨に戻って、胸を包む。揉みしだかれると甘い快楽が駆け巡り、堪えきれない声を溜息に似せて漏らした。

「嫌なら、そう命令してください。今なら止められます」
「……砂を……浴びるだけ、なんでしょ……」
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