この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
砂の人形
第6章 自動人形

「テルベーザ?」

 私の口をふさぎ、テルベーザは身を伏せた。耳を地面に押し当てて、何かを確かめているようだった。

「大勢の足音がします。人間です」

 潜めた声でそう言うと、私にここにいるように言って、すぐに砂丘を駆け上がって行った。

 こんなに日が出ているのに、旅人が歩いているなんて……おかしい。ひょっとしたら。
 私も、砂除けだけを頭から被って、テルベーザを追った。

 テルベーザは砂丘の頂上から、唖然と下の行列を見下ろしていた。息苦しいほどの日差しの中、一糸乱れぬ足並みで東を目指す一群は、五十人はいそうだ。彼らは皆揃いのターバンと白の上下を着ていて、そして、同じ表情で歩みを進めている。

 同じような、じゃない。まったく同じ表情、まったく同じ顔で。

「何だ、あれ……アルムカンに向かってるのか?」
「自動人形……!」

 私の言葉に、テルベーザが振り返る。

「何か、知っているんですか?」

 テルベーザには、話せない。

 私は、逃げるように元来た方に駆け下りた。砂丘に足を取られて転びそうになるのを、すぐに追いついてきたテルベーザが抱き止める。

「姫様、どうされたんですか」
「別に、何でもないわ」
「自動人形と言いましたね? 何のことです? ルニルカンへ行くことと、何か関係があるんですか?」
「あなたには関係ないことよ」
「関係あります!」

 テルベーザは、怒鳴って私の顎をつかむ。それから私の目を覗き込んだ。

「僕はあなたを選びました、姫様……サルーザ様の処罰を覚悟で、ここにいます。あなたのために。だからもう、隠し事なんてしないでください」

  そんな風に言われたら、嬉しくてかなわない。体中が心臓になったみたいに震えた。

「本当……? 本当に、お父様より私を選んでくれる?」
「でなきゃここにはいません」
「……自動人形は」

 私は、言葉を詰まらせながら話した。

 あまり、うまくは話せなかった。要領を得ない言い方で、順も追えず、思い出したことをぽつぽつと口にした。

 いつからから、あの双子が奇妙な商人を城へ引き入れたこと。室内でも砂除けを二重三重に被っていて、男なのか女なのかもわからないけど、背が高いからきっと男だと思う。
/78ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ