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砂の人形
第7章 遠いオアシス
 何度も繰り返し見た白昼夢が脳裏を過ぎり、自嘲する。厳しい砂漠の気候に耐えられず、枯れてしまう僕のオアシス。上流の暮らしから乱暴に引き離した僕を、いつか憎むことになったら……僕は耐えられないだろう。それならいっそ、蜃気楼と思って遠くから見つめている方がいい。

「テーゼっ……! テーゼ、やだ……」

 僕が腰を引くと、姫様は切なそうに僕を振り返る。その頬に唇を這わせ、代わりに、二本揃えた指を浅く差し入れる。姫様は自分で腰を振っている。僕が教えた通りに。

 僕はもう片方の手で自分のものを扱いて、さっさと終わらせてしまおうと思った。でないときっと、僕は姫様を犯してしまう。初夜の義で、姫様が生娘でないと分かったら? ペテ様は姫様を愛せないだろう。そうなったら、姫様はお輿入れした先でも、アルムカンと同じ孤独を感じながら生きて行かなきゃならない。

「んっ……んんっ! テーゼ、駄目、もう、これ以上は駄目……!」
「姫様がご自分で、腰を振ってらっしゃるんですよ」

 上り詰めて行く姿を眺めながら、僕も自分を奮い立たせる。姫様の首筋に噛み付いて、なめらかな背中に亀頭を押し当て、何度も擦り上げる。

「姫様、こんなに淫らになられて……、すごく、可愛らしい」
「テーゼっ……! あなたも、お願い、あなたも一緒に……!」

 姫様の指が、僕の先端に触れて。僕も、姫様の中に押し入れた指を律動させる。圧迫が強くなり、姫様の体が仰け反る。

「ああっ」
「姫様、僕も……っ! イク、うっ……出る……!」

 汗の浮く肌をきつく吸い上げて、僕は溜め込んでいた醜いものを姫様の背中に撒き散らした。姫様の体から力が抜けて、駱駝の首にしなだれかかる。駱駝は、呆れたように小さくいなないた。

「姫様」

 荒れた息の合間に、僕は思い出したように声をかけた。

「……眠っちゃ駄目ですよ」
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