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砂の人形
第8章 白昼夢

「……まだ怒ってるんですか?」

 次の夕方の出発は、駱駝の荷物を分けて別々に乗った。あれから、テルベーザとは一言も話していない。色々と言い訳している彼を置いて、おざなりな砂浴びをさっさと切り上げ、天幕で横になって。暗い中で目を閉じていたけど、結局全然眠れないまま時間が過ぎた。そして出発の時間になり、こうして駱駝に揺られている。

 今もまだ、話す気も起こらない。わざと駱駝を離して歩かせていたのに、テルベーザは寄せてきて、すぐ隣に並んだ。

「何度も言っている通り、あれは僕の体質の問題です。他意があったわけじゃありません」
「それはもう何回も聞いたわ」
「ならどうして機嫌を直してくれないんです」
「だって」

 他の人が相手だったらどう? そのことばかり考えてしまう。今更、カアラの姿を思い出したりして情けなくなる。一緒に水浴びをするたび、見惚れたものだわ。私もあんな体だったら。

「なにか、色々考えてらっしゃるようですが」

 テルベーザはこちらに身を乗り出すと、砂除けを被った私の顎に触れて顔を上げさせる。月明かりを受けて、彼の瞳は優しく輝いて見えた。

「夜の休憩の時なら、ご期待に添えると思います」
「別に無理しなくていいわ」
「それまでに、ご機嫌直しておいてくださいね」

 私の嫌みなんか気にもとめずに、テルベーザは駱駝の胴を軽く蹴って前に出た。

 彼もきっと分かってる。その時がきたらどうせ私は拒めない。それどころか、喜んでテルベーザを受け入れる。本当は今すぐにだって、このもやもやした気持ちごと抱きしめてほしい。

 確かに、城での行為は私をひどく苦しめた。体が満たされるほど、お互いの快楽に気づくほど、繋がらない心がもどかしくて胸が痛かった。でも今は違う。お父様の命令なんかなくても、テルベーザは私に触れてくれる。私のこと、きっと求めてくれてる。 

 昨日、可愛いと言われたとき、すごく嬉しかった。愛していると囁いてくれたらどんなに幸せだろう。あなたが爵位も騎士の立場も、城での生活全部捨てて、私だけを選んでくれたら。私も王女の肩書きなんていらない。アルムカンもルニルカンもどうなったって関係ない。
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