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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
高校三年間の最後は、ほぼ受験に費やした。

少なくとも、東京のいい大学に受からなければさすがに父も認めてくれない。

必死に勉強した。

海渡を探し出す希望だけは捨てずに。

そして、私は都内で上位に入る大学に合格した。

「よくやったな、おめでとう。」

櫻井先生が微笑んでそういってくれて、私は素直に嬉しかった。

うちの高校にしたら、ありえない快挙らしく職員室が盛り上がっていた。

圭子は地元の専門学校に。

田辺くんはプロボクサーを目指して、所属しているジムで練習の日々らしい。

そして私たちはバラバラになってしまった。

卒業とともに、荷物をまとめて東京にいく支度を整える。

部屋は一応決めた。

一時期独り暮らしをした部屋は、海渡との最後の思い出が残る部屋だったけど、名残惜しいけど引き払う。

「さよなら……」

荷物がなくなった部屋でひとり静かにつぶやく。

全く知らない土地で、一人で生きていかなければならない。

あなたもあの日、こんな気持ちだったの?

本当にあなたに会える日がくるのだろうか。

不安な気持ちを抱えながら、私は新しい一歩を踏み出した。
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