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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
息子の嫁みたいなもんだしな、と笑いながら言うこの人と週に一回ごはんを食べに行くのは、本当に楽しみだった。

「そっか、東京の大学に目指すのか…寂しくなるなぁ…」

一郎さんがタバコをふかしながら言う。

「まだ受かるかは解らないですけどね!」

私が笑いながら言うと、一郎さんは不敵に笑いながら言った。

「海渡を探しにいくんだろ?俺もあいつは東京にいると思うぜ?」

あれから海渡の母親の消息もわからなくなった。

たぶん、海渡を探しにいったわけじゃなくやばいことに首をつっこんだのではないか、と一郎さんが推測していた。

「やっぱり、会いたいんです。どうしても……会えないかもしれないけど、後悔したくないんです。」

私がまっすぐ一郎さんを見つめて言うと、一郎さんは懐かしい海渡みたいな笑い方で微笑む。

なんで、他人なのにこのひとは海渡に似てるのだろう。

不覚ながら、少しドキドキしてしまった。

「俺も遠くにいっても追っかけてくれる彼女さがそー!
まだ40だしな!
バツイチみたいなもんだが(笑)」

そう言いながら、彼はタバコを灰皿に押し付けた。

前に一郎さんが言っていた言葉を思い出した。

どんなに乗り越えられそうもない壁にぶつかっても、希望を捨てない。

今思えば、そう言い聞かせてこのひとは生きてきたんだと思う。
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