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茜色の空に
第7章 春の嵐
ゆっくり瞳を開くと、涙が頬を伝った。

ああ、またあの夢をみたんだ。

ゆっくり体を起こし、涙を拭う。

東京にきて半年が過ぎた。

大学に入り講義を受ける毎日は充実している。

仲のいい友達もできて、バイトも始めた。

それでも毎日が空っぽに思えるのは、彼の手がかりは何もつかめないからだと思う。

当たり前には当たり前で、こんなに人口密度が高いところで偶然に出会えるなんて奇跡でしかないのはわかってるはずだった。

「やっぱり無理なのかな……」

小さく弱音を吐いてしまう。

初恋にこんなに執着してるなんて、ロマンチストすぎてひとに話したら笑われてしまうだろう。

でも、希望を捨ててしまったらここにきた意味がなくなってしまう。

たまに決意が鈍りそうになるけれど、忘れないようにいつも唯一圭子と田辺くんと林間学校で撮った四人の写真を飾っている。

はやくあなたを見つけられますように。

そう小さくつぶやいて、大学にいく用意をはじめる。

生きていさえすれば、永遠の別れなんてない。

そう信じて。
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