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茜色の空に
第8章 雪の華
「海渡~、はやく床掃いてシャンプー入れ!」
誠さんにそう言われて、俺は急いで床に落ちた髪の毛を掃いた。
俺がこの店に住み込みで働くようになってから、もう3年の月日がたち俺はそろそろ20歳の成人式を迎えようとしていた。
といっても地元に戻れない以上、成人式に出る事なんてないんだけれど。
俺が逃げるように地元のあの町から出てきて、なぜか電車を乗り継いで辿り着いたのはこの町だった。
東京にはほど近く、どこか田舎の雰囲気を残しているこの土地で声を掛けられたのが最初だった。
「お兄さん、カットモデルやらない?」
田舎者に声をかける怪しい奴なんじゃないか、そう思って最初は警戒したけれど、近くにある美容室でなぜか強制的に連行される。
「い、いったいなんなんだよっ!」
俺がそう言うと、その男はにこやかに笑って言った。
「いやいや、どうもその刈り上げた変な髪型が気になってね。
そういう髪型見ると、どうも直したくなってうずうずしちゃう性分なんだな。」
そう言って彼は、美容室の椅子に俺を座らせて髪を切り始める。
シャキシャキと髪の聞る音とハサミの金属音を聞きながら、俺はひたすら男が髪を切るところをじっと見つめていた。
「そういえば君、そんな大きな荷物抱えてここに来たとか引っ越してきたばっかり?」
男にそう言われて胸がざわついた。
誠さんにそう言われて、俺は急いで床に落ちた髪の毛を掃いた。
俺がこの店に住み込みで働くようになってから、もう3年の月日がたち俺はそろそろ20歳の成人式を迎えようとしていた。
といっても地元に戻れない以上、成人式に出る事なんてないんだけれど。
俺が逃げるように地元のあの町から出てきて、なぜか電車を乗り継いで辿り着いたのはこの町だった。
東京にはほど近く、どこか田舎の雰囲気を残しているこの土地で声を掛けられたのが最初だった。
「お兄さん、カットモデルやらない?」
田舎者に声をかける怪しい奴なんじゃないか、そう思って最初は警戒したけれど、近くにある美容室でなぜか強制的に連行される。
「い、いったいなんなんだよっ!」
俺がそう言うと、その男はにこやかに笑って言った。
「いやいや、どうもその刈り上げた変な髪型が気になってね。
そういう髪型見ると、どうも直したくなってうずうずしちゃう性分なんだな。」
そう言って彼は、美容室の椅子に俺を座らせて髪を切り始める。
シャキシャキと髪の聞る音とハサミの金属音を聞きながら、俺はひたすら男が髪を切るところをじっと見つめていた。
「そういえば君、そんな大きな荷物抱えてここに来たとか引っ越してきたばっかり?」
男にそう言われて胸がざわついた。