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茜色の空に
第12章 想い出の跡地
倫子と再会してから、あれからまた季節が流れた。

彼女と俺はすれ違いながらも、手を取り合いながら前に進んでいる。

倫子に一緒に住みたいと言った時に拒否されたのは正直ショックだったけど、彼女なりの理由があるだけに理解はできた。

彼女は長らく、一緒に住んでも不仲な両親をみてきた。

そうなるのが怖い、そしてまだ俺と時を過ごしていないだけに、軽はずみにそんなことをして俺を失うのが怖いと言っている。

正直いつも会いたいいつも倫子と触れあっていたいという俺は、理解すれど納得する事はなかなかできないでいる。

まぁ俺が基本的に根本的にはあのころと何も変わらないガキだから、大人になれなくて倫子の事情を受け止めてやるのに時間がかかってしまうんだ。

たまに喧嘩したり価値観の相違やすれ違いや、会えなくて辛くてしょうがない時とかあるけれど、二人で一緒に手を取って進んでいる気はする。

ずっと過ごせなかった10年の時を、俺と倫子はゆっくりと取り戻して言っている。

ただ、俺は倫子とあって同時に気になっている事がある。

それはあの男に奪われてしまった、俺のたった一人の弟の事だった。

無事に生きていれば、気がつけばあいつは・・・月光はもう20歳になるはずだ。

親の同意がなくても、もうちゃんと会える年になったっていう事はバカな俺にも解っていた。



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