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第1章 プロローグ【マホ side】

(精(セイ)さん、今頃どこにいるの…？)

マホは大きな腹をさすりつつ、胎児の父親の呑気な笑顔を思い浮かべてタメ息を吐く。

そもそも相間精多郎(セイタロウ)という男は放浪癖のあるいい加減な性格の軽薄な人間で、子供ができたなどと打ち明けたら速攻で捨てられるんじゃないかと怯えるマホだったが、迷惑がるどころか大いに喜んですぐにプロポーズしてくれた。

しかし精多郎は過去二度ほどオンナを孕ませては籍を入れては別れを繰り返しており、マホと結婚したその日に母親の違う二組の継子を連れて彼女のマンションに転がりこんできた。

最初の妻の娘の一子(イチコ)は高校生、中学生の太郎(タロー)は次の妻の連れ子、彼女と精多郎との間にできた子は次郎(ジロー)で今年から小学生だという。