この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
令嬢は元暗殺者に恋をする
第10章 新たな出会い
「うるさいなあ」

 さわぎ立てる男たちに、少年は鋭い視線を据えて呟いた。
 整った形のいい眉をしかめ、まなじりを細めた濃い紫の瞳の奥に、先ほどまでの軽々しい色が影をひそめ、かわりに剣呑で厳しい光がちらりと過ぎる。

「失せな」

 これまでとは打って変わって、少年は低い声音で男たちに吐き捨てた。
 辺りの空気さえも切り裂く、寒々しい気配が少年の身体からゆるりと放たれる。

 少年の鋭い目に男たちはたじろいだ。
 目つきだけで敵を萎縮させてしまう凄まじさは普通ではない。
 戦って適う相手ではない。

 もしも、剣を交えることとなれば、もはやただの喧嘩では済まなくなる。
 それ以上に、相手の瞳が訴えかけてくるのだ。

 刃向かってきたら、殺すぞと。

「おい、こいつ何かやばくねえか?」

「っていうか、俺こいつの顔に見覚えがあるぞ。もしかしてこいつ裏街の……」

 裏街の、と聞いて他の男たちは顔を引きつらせた。

「まさか、こんな優男が?」

「いや、間違いねえ。おまえら行くぞ」

「ま、待てよ。女はどうする? 売るんじゃなかったのか?」

「ばかやろう! 女なんかどうでもいいんだよ! 死にたくなきゃ、その男には絶対にかかわるな。行くぞ」

 舌を鳴らして去っていく男たちの後ろ姿に、少年は肩をすくめた。

「は、離して」

 少年の腕の中でサラは身動ぐ。
 ごめん、と笑って少年は腕を解いた。

 サラは少年を大きく仰ぎ見る。
 ずいぶんと背の高い人だ。見上げるこちらの首が痛くなってくる。

 悪い人には決してみえないけど……。

 サラは眉間にしわをよせた。
/835ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ