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令嬢は元暗殺者に恋をする
第10章 新たな出会い
「うるさいなあ」
さわぎ立てる男たちに、少年は鋭い視線を据えて呟いた。
整った形のいい眉をしかめ、まなじりを細めた濃い紫の瞳の奥に、先ほどまでの軽々しい色が影をひそめ、かわりに剣呑で厳しい光がちらりと過ぎる。
「失せな」
これまでとは打って変わって、少年は低い声音で男たちに吐き捨てた。
辺りの空気さえも切り裂く、寒々しい気配が少年の身体からゆるりと放たれる。
少年の鋭い目に男たちはたじろいだ。
目つきだけで敵を萎縮させてしまう凄まじさは普通ではない。
戦って適う相手ではない。
もしも、剣を交えることとなれば、もはやただの喧嘩では済まなくなる。
それ以上に、相手の瞳が訴えかけてくるのだ。
刃向かってきたら、殺すぞと。
「おい、こいつ何かやばくねえか?」
「っていうか、俺こいつの顔に見覚えがあるぞ。もしかしてこいつ裏街の……」
裏街の、と聞いて他の男たちは顔を引きつらせた。
「まさか、こんな優男が?」
「いや、間違いねえ。おまえら行くぞ」
「ま、待てよ。女はどうする? 売るんじゃなかったのか?」
「ばかやろう! 女なんかどうでもいいんだよ! 死にたくなきゃ、その男には絶対にかかわるな。行くぞ」
舌を鳴らして去っていく男たちの後ろ姿に、少年は肩をすくめた。
「は、離して」
少年の腕の中でサラは身動ぐ。
ごめん、と笑って少年は腕を解いた。
サラは少年を大きく仰ぎ見る。
ずいぶんと背の高い人だ。見上げるこちらの首が痛くなってくる。
悪い人には決してみえないけど……。
サラは眉間にしわをよせた。
さわぎ立てる男たちに、少年は鋭い視線を据えて呟いた。
整った形のいい眉をしかめ、まなじりを細めた濃い紫の瞳の奥に、先ほどまでの軽々しい色が影をひそめ、かわりに剣呑で厳しい光がちらりと過ぎる。
「失せな」
これまでとは打って変わって、少年は低い声音で男たちに吐き捨てた。
辺りの空気さえも切り裂く、寒々しい気配が少年の身体からゆるりと放たれる。
少年の鋭い目に男たちはたじろいだ。
目つきだけで敵を萎縮させてしまう凄まじさは普通ではない。
戦って適う相手ではない。
もしも、剣を交えることとなれば、もはやただの喧嘩では済まなくなる。
それ以上に、相手の瞳が訴えかけてくるのだ。
刃向かってきたら、殺すぞと。
「おい、こいつ何かやばくねえか?」
「っていうか、俺こいつの顔に見覚えがあるぞ。もしかしてこいつ裏街の……」
裏街の、と聞いて他の男たちは顔を引きつらせた。
「まさか、こんな優男が?」
「いや、間違いねえ。おまえら行くぞ」
「ま、待てよ。女はどうする? 売るんじゃなかったのか?」
「ばかやろう! 女なんかどうでもいいんだよ! 死にたくなきゃ、その男には絶対にかかわるな。行くぞ」
舌を鳴らして去っていく男たちの後ろ姿に、少年は肩をすくめた。
「は、離して」
少年の腕の中でサラは身動ぐ。
ごめん、と笑って少年は腕を解いた。
サラは少年を大きく仰ぎ見る。
ずいぶんと背の高い人だ。見上げるこちらの首が痛くなってくる。
悪い人には決してみえないけど……。
サラは眉間にしわをよせた。

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