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令嬢は元暗殺者に恋をする
第12章 やっと再会できたのに
「ああ、止まって。そこ」

 それからしばらく無言で歩き続けていた二人であったが、突如、シンは立ち止まり、一軒の古びた廃屋をあごで示した。

「たぶん、あいつはここにいる。あの診療所から戻ってきて以来、ずっとここに入り浸りだ」

 サラは睨み据えるように、その古びた家の扉を見つめた。

「ここは?」

 問いかけるサラに、シンは口許に意味ありげな笑いを刻むだけ。

 はっと、はじかれたようにサラは辺りを見渡した。
 見れば何人かの女たちが、あられもない格好で、ぼんやりと道の端に座り込んでいる。

 生気の感じられない彼女たちの目は虚ろで、そのせいか、みな同じ表情に見えた。

 そこへ、ひとりの男が女たちの元に近寄っていく。
 しばらく品定めをするように彼女たちを見下ろしていた男は、一番端に座っていた女を選び、近くの家へ入っていってしまった。

「まさか、ここって!」
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