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令嬢は元暗殺者に恋をする
第14章 裏街の頭
「もちろん、噂には聞いたことがありますよ。裏街の男たちを率いる頭のことを。その腕っ節の強さから徐々に頭角をあらわし、暗黒街を仕切るまでにのしあがったと。裏街の頭の名前があがるだけでみな、恐れおののき、その姿を見かけただけで、気の弱い者は失神する者がいると。シンくん、それがあなたでしたか」
「いや先生! でも、そいつは裏街の人間。つまり極悪人ですよね」
「テオ」
ベゼレートはテオの言葉をたしなめるように首を横に振る。
「それでも彼の存在が、裏街の犯罪を抑えられているところもあるのですよ。確かに、裏街の評判はあまりよいとはいえないかもしれません。けれど、裏街に住むすべての者があなたの思っている人たちばかりとは限らないのですよ」
ですが……と言いかけ、テオはしぶしぶといったていで椅子に座り直し、シンを見やる。
それにしても、本当に、ただ者ではなかったのだ。
テオは恐る恐る、サラに視線を向ける。
どうやら、少しばかり酔いが回っているらしい。
彼女は顔を赤く染めて無邪気に笑い、頭って何? と、裏街の、それも頭の男の袖を引っ張っている。
サラは自分が連れてきた少年がどんな人物なのかよく分かっていないらしい。いや、そもそも裏街がどういうところなのかも、実は理解していないのだろう。
そこらの少年たちと一緒だと思っているのなら、それは大きな勘違いだ。
だがそれも仕方がないこと。
彼女は由緒あるこのアルガリタの貴族のご令嬢。
闇の世界とは今まで無縁に生きてきたのだから。
テオはひたいに手をあて、大きなため息を一つついた。
「いや先生! でも、そいつは裏街の人間。つまり極悪人ですよね」
「テオ」
ベゼレートはテオの言葉をたしなめるように首を横に振る。
「それでも彼の存在が、裏街の犯罪を抑えられているところもあるのですよ。確かに、裏街の評判はあまりよいとはいえないかもしれません。けれど、裏街に住むすべての者があなたの思っている人たちばかりとは限らないのですよ」
ですが……と言いかけ、テオはしぶしぶといったていで椅子に座り直し、シンを見やる。
それにしても、本当に、ただ者ではなかったのだ。
テオは恐る恐る、サラに視線を向ける。
どうやら、少しばかり酔いが回っているらしい。
彼女は顔を赤く染めて無邪気に笑い、頭って何? と、裏街の、それも頭の男の袖を引っ張っている。
サラは自分が連れてきた少年がどんな人物なのかよく分かっていないらしい。いや、そもそも裏街がどういうところなのかも、実は理解していないのだろう。
そこらの少年たちと一緒だと思っているのなら、それは大きな勘違いだ。
だがそれも仕方がないこと。
彼女は由緒あるこのアルガリタの貴族のご令嬢。
闇の世界とは今まで無縁に生きてきたのだから。
テオはひたいに手をあて、大きなため息を一つついた。

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