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令嬢は元暗殺者に恋をする
第20章 告白
「夕飯に使うじゃがいもの皮むきをしておけ」
という、テオの言いつけに従い、厨房でじゃがいもの皮むきをしているシンの側に、ひょっこりとサラが現れたのは昼も近くになっての頃であった。
「昨日はいつの間にか眠ってしまったみたい」
「よく寝てたな。だらしがなく口開けてた」
「うそ!」
と、サラは口許に手をあて、顔を赤くする。
「うそだよ。まあ、サラが眠ってしまって、俺も助かったけど」
「そういえば、あの時やばいとか言ってたものね。何がやばいの? どうしたの?」
「人の気も知らずに……」
と、小声で呟き、シンは何でもないと苦笑いを浮かべる。
「そう? ならいいのだけれど」
何か言いたげに、でも言い出せずにしばらく落ち着かない様子でシンの側に立っていたサラだが、おもむろに調理台の側の椅子に腰を降ろし、じゃがいもの皮むきを手伝い始めた。
「ねえ、カイって、すごい人なのね。私驚いてしまったわ。それに、エレナさんもとても素敵な人。私、エレナさん大好き。あとでお礼もかねて遊びに行ってもいいかな?」
サラはうかがうように、ちらりとシンを横目で見る。
「やめとけ。エレナは働いている。サラみたいに暇人じゃない」
「暇人って……」
確かにそうだけど……とサラは唇を尖らせつつも言い返せずに口ごもる。
「それよりも、カイのこと聞いたのか?」
サラは興奮気味にうん、とうなずいた。
「聞いたというか、わかってしまったというか。カイって占師として、最高位の称号を持つ人なのでしょう? そんな凄い人、滅多にお目にかかれないんだから」
「最高位? カイがそう言ったのか?」
「ううん、でもすごく意味ありげな笑いを浮かべていたから、そうなのでしょう。違うの?」
サラは首を傾げて問い返す。
「違うな。最高位の、そのさらに上をいく者らしいぞ」
サラはどういうこと? と、手を止めシンを見る。
サラが剥いている手の中のじゃがいもは、あわれなくらいいびつな形をしていた。
皮を剥くというよりは、かんじんの実を削っているという感じだ。
という、テオの言いつけに従い、厨房でじゃがいもの皮むきをしているシンの側に、ひょっこりとサラが現れたのは昼も近くになっての頃であった。
「昨日はいつの間にか眠ってしまったみたい」
「よく寝てたな。だらしがなく口開けてた」
「うそ!」
と、サラは口許に手をあて、顔を赤くする。
「うそだよ。まあ、サラが眠ってしまって、俺も助かったけど」
「そういえば、あの時やばいとか言ってたものね。何がやばいの? どうしたの?」
「人の気も知らずに……」
と、小声で呟き、シンは何でもないと苦笑いを浮かべる。
「そう? ならいいのだけれど」
何か言いたげに、でも言い出せずにしばらく落ち着かない様子でシンの側に立っていたサラだが、おもむろに調理台の側の椅子に腰を降ろし、じゃがいもの皮むきを手伝い始めた。
「ねえ、カイって、すごい人なのね。私驚いてしまったわ。それに、エレナさんもとても素敵な人。私、エレナさん大好き。あとでお礼もかねて遊びに行ってもいいかな?」
サラはうかがうように、ちらりとシンを横目で見る。
「やめとけ。エレナは働いている。サラみたいに暇人じゃない」
「暇人って……」
確かにそうだけど……とサラは唇を尖らせつつも言い返せずに口ごもる。
「それよりも、カイのこと聞いたのか?」
サラは興奮気味にうん、とうなずいた。
「聞いたというか、わかってしまったというか。カイって占師として、最高位の称号を持つ人なのでしょう? そんな凄い人、滅多にお目にかかれないんだから」
「最高位? カイがそう言ったのか?」
「ううん、でもすごく意味ありげな笑いを浮かべていたから、そうなのでしょう。違うの?」
サラは首を傾げて問い返す。
「違うな。最高位の、そのさらに上をいく者らしいぞ」
サラはどういうこと? と、手を止めシンを見る。
サラが剥いている手の中のじゃがいもは、あわれなくらいいびつな形をしていた。
皮を剥くというよりは、かんじんの実を削っているという感じだ。

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