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令嬢は元暗殺者に恋をする
第1章 プロローグ ※
サラはそっとベッドに歩み寄った。
そこに眠るのは、安らかな寝息をたてる愛しい男性(ひと)の姿。
頬を柔らかな枕に埋め、その枕を抱きかかえるようにうつぶせになって眠るハルの寝顔は穏やかであった。
サラはベッドの端に腰をおろし、ハルの肩に手をあてた。ひやりとした素肌の感触が手のひらに吸いつく。
彼は元暗殺者。
大勢の人をその手で殺めるという、過酷な運命の中で生きてきた。
本来なら眠っていても人の気配があればすぐに目を覚まし攻撃に転ずる。
いや、他人の前で眠るなどあり得なかったはず。けれど、こうして寝息をたてて眠るハルの姿は本当に穏やかで、心の底から自分に気を許してくれているのだとサラは嬉しく思った。
「起きて、朝よ」
微睡みの底から目覚めたハルは、まぶたを震わせ緩やかに目を開く。
ひたいにかかる前髪の隙間から鮮やかな藍色の瞳が揺れ、ひたとこちらを見つめ返す。
朝日を浴びるハルの素肌は女性が羨むほど滑らかで、こうして肩に置いた手のひらに、ハルの素肌がしっとりと吸いつくようであった。
「おはよう。ハル」
ささやく、サラの声にハルは口許に緩やかな笑みを浮かべた。
愛おしい男性の顔を見つめ、サラもにこりと微笑む。
ハルは腕を支えて起きあがり、顔を傾けサラの唇に唇を重ねた。
ついばむような優しく柔らかい口づけに、サラはうっとりとまぶたを閉じる。
唇が離れ、サラは潤んだ瞳で甘い吐息をもらす。
「おはよう、サラ。早起きだね。昨夜は動けなくなるくらい愛してあげたと思ったけど」
ハルの手がふわりとサラの頬をなで、耳朶をくすぐる。
「もしかして、物足りなかった?」
「そんなことない……あっ……」
腕を引かれベッドに倒れ込むサラの上に、すかさずハルはおおいかぶさった。顔の横に置かれたハルの両腕に逃げ道をふさがれてしまい起き上がることもできない。
二人分の身体の重みにベッドがぎしりと軋む音をたてる。
すぐ目の前にはハルの端整な顔。
藍色の瞳が覗き込むように、悪戯げに見つめてくる。
その目に見つめられたらもう、抗うこともできない。
捕らえられ、堕ちていくだけ。
そこに眠るのは、安らかな寝息をたてる愛しい男性(ひと)の姿。
頬を柔らかな枕に埋め、その枕を抱きかかえるようにうつぶせになって眠るハルの寝顔は穏やかであった。
サラはベッドの端に腰をおろし、ハルの肩に手をあてた。ひやりとした素肌の感触が手のひらに吸いつく。
彼は元暗殺者。
大勢の人をその手で殺めるという、過酷な運命の中で生きてきた。
本来なら眠っていても人の気配があればすぐに目を覚まし攻撃に転ずる。
いや、他人の前で眠るなどあり得なかったはず。けれど、こうして寝息をたてて眠るハルの姿は本当に穏やかで、心の底から自分に気を許してくれているのだとサラは嬉しく思った。
「起きて、朝よ」
微睡みの底から目覚めたハルは、まぶたを震わせ緩やかに目を開く。
ひたいにかかる前髪の隙間から鮮やかな藍色の瞳が揺れ、ひたとこちらを見つめ返す。
朝日を浴びるハルの素肌は女性が羨むほど滑らかで、こうして肩に置いた手のひらに、ハルの素肌がしっとりと吸いつくようであった。
「おはよう。ハル」
ささやく、サラの声にハルは口許に緩やかな笑みを浮かべた。
愛おしい男性の顔を見つめ、サラもにこりと微笑む。
ハルは腕を支えて起きあがり、顔を傾けサラの唇に唇を重ねた。
ついばむような優しく柔らかい口づけに、サラはうっとりとまぶたを閉じる。
唇が離れ、サラは潤んだ瞳で甘い吐息をもらす。
「おはよう、サラ。早起きだね。昨夜は動けなくなるくらい愛してあげたと思ったけど」
ハルの手がふわりとサラの頬をなで、耳朶をくすぐる。
「もしかして、物足りなかった?」
「そんなことない……あっ……」
腕を引かれベッドに倒れ込むサラの上に、すかさずハルはおおいかぶさった。顔の横に置かれたハルの両腕に逃げ道をふさがれてしまい起き上がることもできない。
二人分の身体の重みにベッドがぎしりと軋む音をたてる。
すぐ目の前にはハルの端整な顔。
藍色の瞳が覗き込むように、悪戯げに見つめてくる。
その目に見つめられたらもう、抗うこともできない。
捕らえられ、堕ちていくだけ。

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