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令嬢は元暗殺者に恋をする
第22章 夜会へ
「ああそうだ、サラ、ちょっと手を離すけどいい?」
うん、とうなずくサラの手をとり、シンはその手を自分の肩に持っていく。
「少しの間、俺の肩につかまって」
「うん」
サラの身体から手を離したシンは懐から何かを取り出した。
手にしたのは小さな可愛らしい花柄の絵が描かれた容器。
サラは何? と首を傾げ興味深そうにシンの手元をのぞき込む。
容器の蓋を開けると、練り状の薄いピンク色の口紅が入っていて、かすかに甘い花の香りが漂ってきた。
「昨日、お化粧してみたいって言っただろう?」
サラは瞳を輝かせた。
「もしかして私に? いつの間に!」
「あの後、町に行って選んできた」
「わあ、かわいい色」
シンは右の薬指で口紅を薄くなで、もう片方の手でサラのあごに指先を添え少しだけ上向かせる。
サラの肩が一瞬強ばった。
「緊張しなくてもいいよ。口紅塗るだけだから」
サラはこくりとうなずき、ふっと肩の力を抜く。
「ほんの少し、口を開いて」
言われるまま、素直にサラは薄く唇を開いた。
シンの顔が少しだけサラの顔に近づく。
目のやり場に困ったのか、サラはわずかに視線を下に落としそして、目を閉じた。
紅をとったシンの薬指が、サラの唇をゆっくりとなぞっていく。
くすぐったそうに、サラの肩が一瞬ぴくりと震えたのがわかった。
紅を塗りおえたシンの指先が唇から離れる。
「似合ってるよ」
「ほんとう?」
もともとの唇の色と艶を損なわない程度に、ほんのりと薄紅色に染まったサラの唇に視線を落とし、シンは紅の入った容器をサラの手に渡した。
「ああ、きれいだよ」
慣れない言葉に戸惑ったのか、じっと見つめてくるシンの眼差しが恥ずかしかったのか、サラはうつむいてしまった。
「これ、私に?」
「サラのために選んだ」
頬まで薄紅色に染め、サラは嬉しそうな表情で口許に指先をあてた。そして、手の中の小さなそれを大切そうにぎゅっと握りしめる。
うん、とうなずくサラの手をとり、シンはその手を自分の肩に持っていく。
「少しの間、俺の肩につかまって」
「うん」
サラの身体から手を離したシンは懐から何かを取り出した。
手にしたのは小さな可愛らしい花柄の絵が描かれた容器。
サラは何? と首を傾げ興味深そうにシンの手元をのぞき込む。
容器の蓋を開けると、練り状の薄いピンク色の口紅が入っていて、かすかに甘い花の香りが漂ってきた。
「昨日、お化粧してみたいって言っただろう?」
サラは瞳を輝かせた。
「もしかして私に? いつの間に!」
「あの後、町に行って選んできた」
「わあ、かわいい色」
シンは右の薬指で口紅を薄くなで、もう片方の手でサラのあごに指先を添え少しだけ上向かせる。
サラの肩が一瞬強ばった。
「緊張しなくてもいいよ。口紅塗るだけだから」
サラはこくりとうなずき、ふっと肩の力を抜く。
「ほんの少し、口を開いて」
言われるまま、素直にサラは薄く唇を開いた。
シンの顔が少しだけサラの顔に近づく。
目のやり場に困ったのか、サラはわずかに視線を下に落としそして、目を閉じた。
紅をとったシンの薬指が、サラの唇をゆっくりとなぞっていく。
くすぐったそうに、サラの肩が一瞬ぴくりと震えたのがわかった。
紅を塗りおえたシンの指先が唇から離れる。
「似合ってるよ」
「ほんとう?」
もともとの唇の色と艶を損なわない程度に、ほんのりと薄紅色に染まったサラの唇に視線を落とし、シンは紅の入った容器をサラの手に渡した。
「ああ、きれいだよ」
慣れない言葉に戸惑ったのか、じっと見つめてくるシンの眼差しが恥ずかしかったのか、サラはうつむいてしまった。
「これ、私に?」
「サラのために選んだ」
頬まで薄紅色に染め、サラは嬉しそうな表情で口許に指先をあてた。そして、手の中の小さなそれを大切そうにぎゅっと握りしめる。

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