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令嬢は元暗殺者に恋をする
第26章 勝負の火酒
「しかし、おまえもよくあんな小娘と結婚する気になったな」

 ゼクス家の屋敷。

 長い廊下をファルクとその友人が歩いていた。

「なあに、あれはあれでもう少し大人になったらいい女になるさ。それに、彼女と結婚をすればもれなくトランティアの家名がついてくる」

「おまえの未来は明るいな。友人である俺にもその幸運をわけてくれよ」

 皮肉な嗤いを口許に刻んで言う友人の言葉に、ファルクは曖昧に笑い目を細めた。
 ゼクス家の次男として生まれ、家督を継がないがためにこれまで兄とことあるごとに差別をされてきた。しかし、それを恨んでもしかたがないこと。

「ああ、俺にもやっと運が向いてきたというわけだ」

 それも最高の。
 あの小娘を手に入れれれば、いつの日かあのトランティア家が自分のものに。
 そう、俺の未来は明るいものとなる。
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