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令嬢は元暗殺者に恋をする
第26章 勝負の火酒
「北の国ヴァナル原産の酒だ」

 それは、火をつけると燃え上がるほどに強い酒で〝烈火の酒〟と呼ばれている。

「これで勝負して、先に酔いつぶれた方が負け」

 どう? とシンは挑戦的な眼差しをハルに向けた。

「大酒飲みのおまと勝負をしろと?」

「そ、で、負けた方が勝った方の言うことを何でもひとつ聞く」

「断る。おまえの考えていることなど予想つく」

「なら、話は早い」

「聞こえなかったか? 俺は断ると」

「会いにいくって、サラに約束したんだろ?」

 再びシンの口からサラの名前が出たことにハルの表情が険しくなる。

「気が向いたらだ。そもそも、おまえには関係のないことだ」

「そんなこと言って、ほんとはサラに会いに行きたいなって思いながらも、これまで彼女に冷たくしてきた手前、何となく自分からは行きづらいと思っているおまえに、俺がせっかく会いに行くきっかけを作ってやろうとしてるんじゃないか」

 言いながら、シンは酒盃に酒をそそぎ、有無を言わせずハルの前に差し出した。

「あれ? それともハルくんはもしかしてお酒が飲めなかったとか? だったら、お子さま用の林檎酒にしてやってもいいぞ」

 シンの挑発に、ハルは差し出された酒を無言で一気に流し込んだ。
 空になった酒盃をとんとテーブルに置く。
 テーブルに頬杖をつき、シンはしてやったりというように、にやりと笑う。

 かかったな。
 こいつ案外、負けず嫌いなところがあるからな。で、意外に単純だったりすることもある。
 だから好きなんだよな。

 シンは空になったハルの酒盃にさらに酒をつぐ。

 さあ、おまえのその澄ました顔も感情も何もかも崩してやる。

「まあ、安心しな。酔いつぶれたら俺が面倒みてやる」

 シンはにっこりと笑い、自分も酒の入った酒盃をかたむけた。
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