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令嬢は元暗殺者に恋をする
第27章 勝負の行方
 それから、店を出たのはすでに深夜を回っていた。
 空を仰げば傾きかけた月が冴え冴えとした光を放っている。

「シン」

 さて、これからどうしようか、と思いながら歩き出したところに呼び止められ、シンは背後を振り返った。
 店の入り口に先ほどの女性給士、カナルが立っていた。

「どうした? カナル」

 カナルは小走りでこちらに駆け寄ってきた。

「何か元気がないような気がしたから、心配になって」

「そうか?」

「もしかして、女の子にふられたとか?」

 シンは肩をすくめ、曖昧に笑うだけであった。

「まさか、ほんとに? 嘘でしょう? シンが本気になれば簡単におとせたでしょう」

「そう、うまくいかないよ」

「そっか……」

 わずかに目を伏せたカナルの顔に一瞬だけ、ほっとしたものが過ぎった。

「あたし、仕事終わったの」

「家まで送ってくよ」

「ねえ」

「ん?」

 カナルは肩にかけていた羽織りの前をぎゅっとかき合わせた。そして、ついっと顔をあげ真剣な眼差しでシンを見上げる。

「シンのこと、慰めてあげようか?」

 二人の間に沈黙が落ちた。
 不意に、シンは目の前のカナルの腰に手を回し抱き寄せた。
 シンの指先がカナルの腰にきつく食い込み、さらに、もう片方の手でカナルの首の後ろに手を添える。

 驚いたように目を見開くカナルの身体をさらに強く抱きしめ唇をふさぐ。
 カナルの手がすがるようにシンの背に回された。

 ふっと、シンの唇が離れる。

 身動きもできないほどに抱きしめられ、息苦しさに喘ぎ息をつぐカナルに、シンはもう一度深い口づけを与えた。
 熱を帯びた吐息をこぼし、カナルは潤んだ目でシンを見上げる。しかし、カナルを抱きしめていたシンの手が解かれた。

「ごめん……」

「……どうして? 謝らないで」

「送ってく」

 歩き出そうとしたシンの腕を咄嗟にカナルはつかんで引き止めた。

「あたしじゃ……だめ?」

「……そうじゃないよ。そうじゃなくて、俺、今日は自制きかないかも。カナルのこと考えずにいろいろ無理しちゃいそ」

 カナルは緩く首を振ってシンの胸にすがりついた。

「いいの。シンの好きにしていいから。だから……」
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