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令嬢は元暗殺者に恋をする
第32章 甘いひとときを過ごすはずだったのに
 突然、肩をふるわせて笑い出したハルにサラは首を傾げる。
 一体、何がそんなにおかしいのかとはハルの視線をたどると、そこにはやりかけていた宿題の山があった。

「これ? 明日までの宿題なの。私だってちゃんと勉強はしているのよ。いちおう……」

 少しでもいいところをみせようというつもりなのであろう、サラは得意げな顔をする。
 サラを片腕で抱いたまま、ハルはそのやりかけの宿題の一部に手を伸ばし、眉間にしわを寄せた。

「ひどいな」

「でしょう? こんな難しい問題をだすなんて先生もひどいんだから」

「勘違いするな。全問見事に不正解でひどいって言ったんだ。どうすれば、こんなでたらめな答えがでてくるのか不思議でたまらない」

 すぐさま返ってきたハルの言葉にサラは呆然と口を開けた。

「全部間違ってるって……そんなことないわよ。ちゃんと、先生の教わった通りに……ううん! だいたい、ハルにこんな難しい問題がわかるというの?」

 ハルは別の宿題を取り上げざっと目を通すと、呆れたようにため息をもらした。

「こっちも全然だめ。話にならないね」

 手の甲でぱしんと宿題の用紙をはじき、ハルは横目でサラを見据えた。

「あんた」

 サラはなに? と首を傾げる。

「頭も悪いんだね」

「ちょっと待って。頭もって、その〝も〟っていうのはどういう意味?」

 遠慮のないハルの言葉にサラは頬を膨らませた。

 ひどく馬鹿にされているような気がした。
 いや、気がしたではなく、本当に馬鹿にされているのだ。

「そのままの意味だよ。取り柄のひとつもないのか?」

「失礼ね。私にだって、取り柄くらい、取り柄……?」

 そこでサラはうーん、と考え込む。
 ハルは肩をすくめた。

「それでよく俺に会いに来いと言えたものだよ」

 サラはうっ、と声をつまらせた。

「馬鹿なあんたにつき合わされている教師も気の毒だね。これじゃあ、教えがいもないだろうに」

「私だって真剣に頑張って努力して……」

「努力の成果がこれか? 無駄な努力だな」

 と、ハルはサラの眼前に宿題の用紙を突きつける。

「それなりに一応、答えを全部うめたわ」

「だから、全部間違ってるんだよ。それに、字も汚い」

 とどめに字が汚いと言われ、サラは口をあんぐりと開けた。
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