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令嬢は元暗殺者に恋をする
第33章 ハルの過去
「そんな表情をされたら、俺のほうがおかしくなる」

「おかしくなるって?」

「何でもない。ねえ、あんたが今思っていること、言いあててあげようか」

「え……?」

「表情を見ればわかるよ。この状態じゃもう、もどかしくてつらい。怖いけど、その先を知りたい。俺に身を委ねてみたいって。あんた、あと一押しで間違いなく堕ちるけど、どうする?」

 思っていることを指摘され、サラは頬を赤らめハルから視線をそらした。
 それどころか、どうする、とその先の判断を委ねられ戸惑いに瞳を揺らす。

「さっきのあんたからの可愛いキスに免じて、この先どうしたいか、あんた自身に決めさせてあげる」

「決めさせてあげる……って」

「いやだと言ったら、何もしない」

 サラは泣きそうに眉を寄せた。

 いつも強引だったくせに、こんな状態にさせておいてその先の判断を私に決めさせるなんて。
 私からハルに……だ、抱かれたいなんて恥ずかしくて口がさけても絶対に言えない。

 ハルの意地悪!
 嫌い!

 でも、いつものように強引に迫られたら、今度こそ私拒否できない。
 やっぱり怖い……。

 いろいろな思いがぐるぐると頭の中を回り、サラはきつく目を閉じた。
 すると、ハルの手がふわりと頭におかれ優しくなでてくれる。
 そっと目を開けると目の前で、微笑みを浮かべているハルの顔があった。

「ハル……」

「なら、そろそろ夜も明けるし続きをする? 俺、手加減しないけどいい?」
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