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令嬢は元暗殺者に恋をする
第34章 勘違い ※
 続きって……。
 ど、どうしよう、やっぱり心の準備がまだ。

 サラはううん、と心の中で首を振る。

 初めては好きな人と結ばれたいと思っていたわ。
 それに、ハルなら女の人の扱いに慣れてるだろうし、私が初めてだってことも言ってないけど、知っているだろうから……きっとひどいことはしないと思うけど。
 でも、手加減しないって。
 待って、そもそも手加減しないって、何をどう手加減しないの?
 わ、わからないわ。

 またしても、頭の中でぐるぐると考えを巡らせる。

 でも、ここで私がうなずいたら。
 私、ハルと……。

 そろりとハルの目を見つめ返したその時、突然、ハルが肩を震わせ笑い出した。

 サラはきょとんとして首を傾げる。

 えっと……ここって笑うところかしら。
 私、何か変だった?

「ころころ表情変えておもしろい。だけど、あんた、おもいっきり勘違いしてる」

「勘違い?」

「俺は、間違えた宿題の続きをやろうかっていうつもりで言ったんだけど」

 サラはぽかんと口を開けた。が、次の瞬間、かっと顔を真っ赤にする。

「宿題の続き! だって、今のは宿題って雰囲気じゃなかったわ!」

 嘘よ……何が宿題の続きよ。
 ぜったい、私のことからかってた!

「そうだった?」

 ハルはしれっとした顔で言う。

「そうだったって……手加減しないって言うから、私……」

「一度、丁寧に教えたんだから、次、間違えたら許さないよっていう意味」

 ハルはにやりと口許に笑いを浮かべ、サラの目をのぞき込む。

「手加減しないって言われてどきどきしたの?」

「だって」

「それで、何を想像したの?」

「それは……」

「教えて」

 目を細め、どこか意地悪な笑みを落とす。
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