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令嬢は元暗殺者に恋をする
第34章 勘違い ※
「あんたが想像した通りのことをしてあげるよ」

「そ、そうじゃなくて! だって、あの流れであんなまぎらわしい言い方するかしら? ハルまで私のことからかうなんて!」

「俺まで?」

 サラはあっという顔で口許を両手で押さえ込み、何でもないと慌てて首を振る。
 何となくほっとしたような、そうでないような複雑な気持ちだった。しかし、そんなサラの表情まで、ハルには見抜かれてしまっているようだ。

「もしかして、がっかりした?」

「してないわ。でも、すごい意地悪! 信じられない! ハルなんか嫌いだわ」

 ハルの身体の下でサラはじたばたともがく。

 あんなキスしておいて!
 あんなどきっとするようなことを言って。
 まだ身体が落ち着かない感じがする。
 もう、ハルなんか知らない。

 サラは唇を尖らせた。

「そんなに怒るなら」

 ハルはサラの胸元に人差し指をあて、にこりと微笑んだ。

「どうして欲しいか素直に口にしてみる?」
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