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令嬢は元暗殺者に恋をする
第38章 レザンの暗殺者
「命がけで守る」

「ハル……」

 命がけで……。

 本当ならハルひとりでなら、この先何があってもどうにでも切り抜けられるはず。けれど、私の存在がハルの枷となってしまうかもしれない。

 それが一番怖かった。

 そんな自分の不安を読み取られてしまったのだろう。
 俺の目をしっかり見ろといわんばかりに、ハルの指先があごにかけられた。

「そんな顔をするな」

 目の前には何ものをも恐れない不敵な笑み。
 自信に満ちた瞳の輝き。
 いつものハルであった。

「レザンの暗殺者が追ってこようと、俺が恐れるのはその中のほんの一部の者。それ以外の奴など俺の相手ではない。だから、安心しろ」

 ハルは側に置いてあった剣を握りしめ、サラの眼前にかざした。

「大切にする。そして、必ず守る」

 うん、とうなずいてサラはその剣に視線を落とした。
 目の前で揺れる剣の柄につけられた飾りの紐を見てわずかに目を見開く。

 真紅に金糸の飾り紐?
 真紅に金糸って、これって。
 でも……そんなまさか。
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