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令嬢は元暗殺者に恋をする
第40章 しるし
言葉もなく抱き合った。
互いの鼓動が重なる。
気持ちは通じ合えた。
昨日までのように、もしかしたらハルは来てはくれないかもしれないという不安に怯えることもない。
心がきゅっと締めつけられるようで痛くて切ない。
ハルの温もりが気持ちよくて、このままずっと抱きしめていたい、強く抱きしめて欲しい。このまま離れたくないと切実に願った。
「そろそろ、帰るよ。また夜が明けてしまったね」
ハルの声にようやくサラは顔を上げ、首を傾けゆっくりと窓の外に視線をあてる。
「ほんとだわ」
いつの間にか、東の空がぼんやりと白み始めていたことに気づく。
やがて、一日の始まりを告げる暁の鐘が鳴り響き、世界を夜明け色に染めるだろう。
それはきっと、サラにとってはいつもと違う新しい夜明け。
「そういえば、私ずっとハルの膝に乗っかったままだったわ。重くなかった?」
膝というか腰のあたりなのだけれど……。
「重くはないよ。ただ」
「ただ?」
「何でもない」
「何でもないって気になるわ。言ってよ、何?」
「言わせるな」
「変なの」
「だけど、そろそろ我慢の限界」
あんた、おもいっきり抱きついてくるし、とハルはぽつりと声を落とす。
腰のあたりに手を添えられ、膝から降ろされそうになる。
けれど、サラはいや、と首を小さく振りハルの腕をつかんだ。
「このまま連れていってくれるのかと思ってた」
「そうしたい気持ちはあるけど、今すぐ無理なのはわかっているだろう?」
互いの鼓動が重なる。
気持ちは通じ合えた。
昨日までのように、もしかしたらハルは来てはくれないかもしれないという不安に怯えることもない。
心がきゅっと締めつけられるようで痛くて切ない。
ハルの温もりが気持ちよくて、このままずっと抱きしめていたい、強く抱きしめて欲しい。このまま離れたくないと切実に願った。
「そろそろ、帰るよ。また夜が明けてしまったね」
ハルの声にようやくサラは顔を上げ、首を傾けゆっくりと窓の外に視線をあてる。
「ほんとだわ」
いつの間にか、東の空がぼんやりと白み始めていたことに気づく。
やがて、一日の始まりを告げる暁の鐘が鳴り響き、世界を夜明け色に染めるだろう。
それはきっと、サラにとってはいつもと違う新しい夜明け。
「そういえば、私ずっとハルの膝に乗っかったままだったわ。重くなかった?」
膝というか腰のあたりなのだけれど……。
「重くはないよ。ただ」
「ただ?」
「何でもない」
「何でもないって気になるわ。言ってよ、何?」
「言わせるな」
「変なの」
「だけど、そろそろ我慢の限界」
あんた、おもいっきり抱きついてくるし、とハルはぽつりと声を落とす。
腰のあたりに手を添えられ、膝から降ろされそうになる。
けれど、サラはいや、と首を小さく振りハルの腕をつかんだ。
「このまま連れていってくれるのかと思ってた」
「そうしたい気持ちはあるけど、今すぐ無理なのはわかっているだろう?」

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