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令嬢は元暗殺者に恋をする
第41章 名前を呼んで
暖かく穏やかな昼下がり。
トランティア家の広大な庭園の一角に設置された東屋で、数人の年若い侍女たちが輪になってお喋りに興じていた。
気の合う仲間同士の会話はとにかくはずむもの。
それが他人の噂話ともなればなおいっそう。そして、今日この日の彼女たちの話題はサラのことであった。
「ほんとに、サラ様の部屋から話し声が聞こえたの?」
「ほんとうよ。相手はきっと男ね」
「男! そんなのあり得ないわよ、サラ様が男の人を部屋に、それも夜中にこっそり呼ぶなんて」
そうそう、と侍女たちがうなずき、そんなことがあるわけがない、あり得ないと口々に否定する。
「嘘じゃないわ。確かに相手の声はぜんぜん聞こえなかったんだけど」
「じゃあ、男の人かどうかなんてわからないじゃない」
「でも! 会話の内容からして絶対、男よ。間違いないわ。私この耳でちゃんと聞いたのよ。時々サラ様がはしゃいだ声をあげて……」
「それは、ほんとにひとりではしゃいでいたんじゃないの? サラ様少し変わったところがあるし」
ねえ、と侍女たちは互いに顔を見合わせうなずいた。
トランティア家の広大な庭園の一角に設置された東屋で、数人の年若い侍女たちが輪になってお喋りに興じていた。
気の合う仲間同士の会話はとにかくはずむもの。
それが他人の噂話ともなればなおいっそう。そして、今日この日の彼女たちの話題はサラのことであった。
「ほんとに、サラ様の部屋から話し声が聞こえたの?」
「ほんとうよ。相手はきっと男ね」
「男! そんなのあり得ないわよ、サラ様が男の人を部屋に、それも夜中にこっそり呼ぶなんて」
そうそう、と侍女たちがうなずき、そんなことがあるわけがない、あり得ないと口々に否定する。
「嘘じゃないわ。確かに相手の声はぜんぜん聞こえなかったんだけど」
「じゃあ、男の人かどうかなんてわからないじゃない」
「でも! 会話の内容からして絶対、男よ。間違いないわ。私この耳でちゃんと聞いたのよ。時々サラ様がはしゃいだ声をあげて……」
「それは、ほんとにひとりではしゃいでいたんじゃないの? サラ様少し変わったところがあるし」
ねえ、と侍女たちは互いに顔を見合わせうなずいた。

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