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令嬢は元暗殺者に恋をする
第4章 私があなたを守ってあげる
遠くで暁を告げる鐘の音を聞く。
一つ、二つ……。
静かに余韻を漂わせて。
震えるその音は、どこかもの悲しささえ感じた。
ハルはまぶたを震わせた。と、同時に、手が己の剣を探し求める。
馴染みのあるその感触を確かめ安堵する。
少し肌寒い空気が肌を刺し、汗で張りついた夜着に不快を感じた。
多少の倦怠感は残っているものの、どうやら熱はひいたようだ。
ゆっくりと視線を窓の外へと転じる。
夜が明け離たれようとしている東の天(そら)は、白々とした色に染まり始め、取り残された月がいまだ白い影をともなって天にかかっている。
かすかに霧たつ辺りの気配は清々しい空気さえ漂わせ、やがて黎明の光が勾配を増し、新しい一日の始まりの幕を広げるであろう。
ふと視線を横に移すと、自分の手を握りしめ、気持ちよさそうに寝息をたてているサラがベッドの縁に突っ伏し眠っていた。
無防備ともいえるあどけない寝顔を見つめ、ハルはひたいに手をあて緩く首を振る。
結局、一晩同じ部屋で過ごしたことになる。
あの、頭の固そうなテオという青年に見つかれば、責められるのはこちらだというのに。
何より、この少女には身の危険というものを感じないのか。
無邪気すぎるのにもほどがある。
そんなことを思いつつ、ハルは怪我の具合を確かめるため、おそるおそる身体を動かした。
「っ……」
声にならない苦痛の呻きをもらし、顔を歪める。
痛みが全身をかけ抜け支配する。
最悪の気分であった。
それでも眠ったおかげか、頭のほうはずいぶんとすっきりとした。
何か夢を見たような気もするが、珍しいことに記憶として残っていない。
いつもの悪夢ではなく、とても懐かしい人の声を聞いたような気がするが……そんな時に限って何も覚えていないものだ。
そして、次の瞬間、自分がここまで深く寝入ってしまったことに驚きを隠せないでいた。
一つ、二つ……。
静かに余韻を漂わせて。
震えるその音は、どこかもの悲しささえ感じた。
ハルはまぶたを震わせた。と、同時に、手が己の剣を探し求める。
馴染みのあるその感触を確かめ安堵する。
少し肌寒い空気が肌を刺し、汗で張りついた夜着に不快を感じた。
多少の倦怠感は残っているものの、どうやら熱はひいたようだ。
ゆっくりと視線を窓の外へと転じる。
夜が明け離たれようとしている東の天(そら)は、白々とした色に染まり始め、取り残された月がいまだ白い影をともなって天にかかっている。
かすかに霧たつ辺りの気配は清々しい空気さえ漂わせ、やがて黎明の光が勾配を増し、新しい一日の始まりの幕を広げるであろう。
ふと視線を横に移すと、自分の手を握りしめ、気持ちよさそうに寝息をたてているサラがベッドの縁に突っ伏し眠っていた。
無防備ともいえるあどけない寝顔を見つめ、ハルはひたいに手をあて緩く首を振る。
結局、一晩同じ部屋で過ごしたことになる。
あの、頭の固そうなテオという青年に見つかれば、責められるのはこちらだというのに。
何より、この少女には身の危険というものを感じないのか。
無邪気すぎるのにもほどがある。
そんなことを思いつつ、ハルは怪我の具合を確かめるため、おそるおそる身体を動かした。
「っ……」
声にならない苦痛の呻きをもらし、顔を歪める。
痛みが全身をかけ抜け支配する。
最悪の気分であった。
それでも眠ったおかげか、頭のほうはずいぶんとすっきりとした。
何か夢を見たような気もするが、珍しいことに記憶として残っていない。
いつもの悪夢ではなく、とても懐かしい人の声を聞いたような気がするが……そんな時に限って何も覚えていないものだ。
そして、次の瞬間、自分がここまで深く寝入ってしまったことに驚きを隠せないでいた。

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