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令嬢は元暗殺者に恋をする
第45章 心にかかる不安
「どうするつもりもないよ。それに、剣を抜くまでもない。あの男程度なら、素手でじゅうぶんだ。一瞬で沈めてやる」

「素手でって……」

 重ねたハルの手にサラは視線を落とす。

 こんなにきれいで、女の人みたいに細い手なのに。

「それに、心配しなくても、あの男が俺に何かを仕掛けてきたとしても、どうこうするつもりはないよ。いちおう、あんたの婚約者だし、今あの男に何かあったら問題があるだろう」

 それを聞いてほんの少しだけ安心した。
 が……。

「ただし……」

 ただし、と言って、重ねた手に指を絡めとられ、さらに、回されたハルの腕に力が込められる。

「あんたに危害を加えない限りはだけどね」

 私に危害を加えない限り……。

 ならもし、と言いかけようとしたサラは思わず言葉を飲み込んでしまった。
 恐ろしくて聞けなかった。

 もし、私に何かあったら、間違いなくハルはファルクを容赦なく叩き潰してしまうだろう。
 ハルにそんなことはさせたくない。
 大丈夫。
 私がちゃんと気をつければいいだけのこと。
 あの男と二人っきりになったりしないし、夜もしっかりと部屋に鍵をかけておけばこの間のように忍び込んでくることもないはず。

「行くよ。しっかりつかまっていてね」

 ハルの声にサラは我に返りうなずいた。そして、馬は走り出す。けれど、もしもこの時、素直に今の不安をハルに打ち明けたら、この後に起こる悲しい出来事を少しでも回避することができたのだろうか。

 幸せなど、他人の手によって簡単に壊されてしまうのだ。
 あっけないほど、いとも簡単に。

 徐々に不穏な気配が足を忍ばせ、残酷なまでに二人を引き裂こうとしていた。
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