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令嬢は元暗殺者に恋をする
第47章 私を愛して
建てつけの悪い扉を開け、二人は降りしきる雨から逃れるように小屋の中へと飛び込んだ。
背後でぎっと音をたてて扉が閉まる。
光を遮断された部屋は薄暗く、重く垂れこめた雨雲のせいで、窓から差し込む明かりだけでは部屋全体を照らすまでには至らなかった。
人の気配は感じられない。
しんとした部屋に窓を叩きつける激しい雨音。
いつの間にか雷は遠のいていったようだ。
雨のにおいに混じり、ほこりっぽさがつんと鼻腔をかすめたが、それもすぐに気にならなくなった。
びしょ濡れになったまましばし、二人は扉の前で立ち尽くす。
髪や服に吸い込んだ雨がしずくとなって落ち、てんてんと床にしみを作った。
「誰もいない、みたいね」
空き家だとわかっていても無断で入ることに気後れを感じたのか、サラはおじゃまします……と小さな声を落とし、おそるおそる小屋の中へと足を踏み入れ中をぐるりと見渡した。
入ってすぐに居間。
二人がけ用のテーブルと椅子。そして、隅には小さな食器棚が置かれていた。さらに、奥に続く間はおそらく寝室。部屋はその二間だけであった。
どの家具にも白くほこりがつもっていて、長いこと人が使った形跡は見あたらない。
もしかしたら、この家の持ち主が突然戻ってくるのではと危惧したが、どうやらその心配はないとわかると、ようやくサラは肩の力を抜きほっと息をついた。
緊張が抜けた途端、サラはぶるっと肩を震わせた。
服が肌に張りついて少し気持ちが悪いが、まだ夏の終わり、ほんの少し我慢していればすぐに乾くだろう。
肌寒いのも、耐えられないほどではない。
ちょっと待っていてと、動き出したハルから離れまいと咄嗟に腕をつかむが、ハルの向かう先が寝室だとわかった途端、すぐに手を離してしまった。
すぐに奥の部屋から戻ってきたハルは、手にした毛布をサラに手渡した。
背後でぎっと音をたてて扉が閉まる。
光を遮断された部屋は薄暗く、重く垂れこめた雨雲のせいで、窓から差し込む明かりだけでは部屋全体を照らすまでには至らなかった。
人の気配は感じられない。
しんとした部屋に窓を叩きつける激しい雨音。
いつの間にか雷は遠のいていったようだ。
雨のにおいに混じり、ほこりっぽさがつんと鼻腔をかすめたが、それもすぐに気にならなくなった。
びしょ濡れになったまましばし、二人は扉の前で立ち尽くす。
髪や服に吸い込んだ雨がしずくとなって落ち、てんてんと床にしみを作った。
「誰もいない、みたいね」
空き家だとわかっていても無断で入ることに気後れを感じたのか、サラはおじゃまします……と小さな声を落とし、おそるおそる小屋の中へと足を踏み入れ中をぐるりと見渡した。
入ってすぐに居間。
二人がけ用のテーブルと椅子。そして、隅には小さな食器棚が置かれていた。さらに、奥に続く間はおそらく寝室。部屋はその二間だけであった。
どの家具にも白くほこりがつもっていて、長いこと人が使った形跡は見あたらない。
もしかしたら、この家の持ち主が突然戻ってくるのではと危惧したが、どうやらその心配はないとわかると、ようやくサラは肩の力を抜きほっと息をついた。
緊張が抜けた途端、サラはぶるっと肩を震わせた。
服が肌に張りついて少し気持ちが悪いが、まだ夏の終わり、ほんの少し我慢していればすぐに乾くだろう。
肌寒いのも、耐えられないほどではない。
ちょっと待っていてと、動き出したハルから離れまいと咄嗟に腕をつかむが、ハルの向かう先が寝室だとわかった途端、すぐに手を離してしまった。
すぐに奥の部屋から戻ってきたハルは、手にした毛布をサラに手渡した。

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