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令嬢は元暗殺者に恋をする
第52章 薔薇の棘
ゆっくりと、サラを追いつめるようにファルクが歩み寄ってくる。
サラは距離をとりつつ、相手を刺激しないよう、少しずつ少しずつ、ベッドから離れ扉へと向かう。
「さて、どんなお仕置き与えてあげようか」
サラはきつく手を握りしめた。
何としてでもこの部屋から、目の前の男から逃げなければ。
サラは扉に向かって走り出した。が、腕を大きく伸ばしたファルクに難なく捕らえられてしまう。
「いや、離して!」
つかまれた相手の手を渾身の力で振り解く。
勢い余って側にあった文机に手をついたサラは、目の前にあった本をファルクめがけて投げつけた。
さらに、もう一冊。
手に触れたものを手当たりしだい相手に向かって投じる。しかし、投げつけた本も何もかも、いとも簡単に振り払われてしまい、他に投げるものはないかと机に視線を這わせた瞬間、一気につめ寄ってきたファルクに両肩をつかまれた。
ファルクはにやりと薄い嗤いを刻み、サラを見下ろした。
机の上に置かれた蝋燭の炎がファルクの瞳に映り込む。
嗜虐的な色を滲ませるファルクのその瞳は、まるでこんなことをして、許さないといっているようでもあった。
肩を上下させ、荒い息を吐きながらサラは相手を睨みつける。
サラは距離をとりつつ、相手を刺激しないよう、少しずつ少しずつ、ベッドから離れ扉へと向かう。
「さて、どんなお仕置き与えてあげようか」
サラはきつく手を握りしめた。
何としてでもこの部屋から、目の前の男から逃げなければ。
サラは扉に向かって走り出した。が、腕を大きく伸ばしたファルクに難なく捕らえられてしまう。
「いや、離して!」
つかまれた相手の手を渾身の力で振り解く。
勢い余って側にあった文机に手をついたサラは、目の前にあった本をファルクめがけて投げつけた。
さらに、もう一冊。
手に触れたものを手当たりしだい相手に向かって投じる。しかし、投げつけた本も何もかも、いとも簡単に振り払われてしまい、他に投げるものはないかと机に視線を這わせた瞬間、一気につめ寄ってきたファルクに両肩をつかまれた。
ファルクはにやりと薄い嗤いを刻み、サラを見下ろした。
机の上に置かれた蝋燭の炎がファルクの瞳に映り込む。
嗜虐的な色を滲ませるファルクのその瞳は、まるでこんなことをして、許さないといっているようでもあった。
肩を上下させ、荒い息を吐きながらサラは相手を睨みつける。

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