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令嬢は元暗殺者に恋をする
第55章 会いたかった
静かだった。
物音ひとつない静寂に包まれた部屋。
いつものように、バルコニーからサラの部屋に忍び込んだハルは、いつもと様子が違うことに違和感を抱く。
いつもなら、自分の気配にすぐ気づき、サラが嬉しそうな笑みを浮かべて抱きついてきたのに、それもない。
トランティアの屋敷の側でゼクス家の紋章がほどこされた馬車を見かけ、嫌な予感を抱いて、もしやと急いで駆けつけたが、すでに昼間見かけたあのファルクという男の姿はなかった。
けれど、ハルはぎりっと奥歯を噛んで顔を歪めた。
息苦しいくらい重くそして、肌をぴりぴりと刺す張りつめた空気。
その漂う空気の中に、胸が悪くなるほどの悪意の残滓すら感じた。
嫌な予感はあたってしまった。
間違いなく、あの男は少し前までこの部屋にいた。そして、サラも。
サラはどこに。
「サラ……」
と、小声で呼びかけてみるが返事はない。
ここにはもういないのか。
あるいは、あの男に連れ去られてしまったか。
さらに部屋の中へと足を踏み入れ、辺りを見渡したハルは厳しく眉を寄せた。
物音ひとつない静寂に包まれた部屋。
いつものように、バルコニーからサラの部屋に忍び込んだハルは、いつもと様子が違うことに違和感を抱く。
いつもなら、自分の気配にすぐ気づき、サラが嬉しそうな笑みを浮かべて抱きついてきたのに、それもない。
トランティアの屋敷の側でゼクス家の紋章がほどこされた馬車を見かけ、嫌な予感を抱いて、もしやと急いで駆けつけたが、すでに昼間見かけたあのファルクという男の姿はなかった。
けれど、ハルはぎりっと奥歯を噛んで顔を歪めた。
息苦しいくらい重くそして、肌をぴりぴりと刺す張りつめた空気。
その漂う空気の中に、胸が悪くなるほどの悪意の残滓すら感じた。
嫌な予感はあたってしまった。
間違いなく、あの男は少し前までこの部屋にいた。そして、サラも。
サラはどこに。
「サラ……」
と、小声で呼びかけてみるが返事はない。
ここにはもういないのか。
あるいは、あの男に連れ去られてしまったか。
さらに部屋の中へと足を踏み入れ、辺りを見渡したハルは厳しく眉を寄せた。

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