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令嬢は元暗殺者に恋をする
第57章 サラを手放さない
「どうして……こんな、ひどい……」
何故、自分がこんな目にあわなければいけないのだといわんばかりの非難の目であった。
「いいから」
短剣を持つハルの手が振り上げられた。
「早く言われた物を用意してこい」
ハルの手から放たれた短剣が、音をたて刃を震わせ侍女の耳の脇の壁に突き刺さる。
最後に、なけなしの侍女の反抗心を打ち砕く。
「ひっ!」
「ハルっ!」
上がった悲鳴は二つ。
侍女は腰が抜けた状態のまま、這いつくばって指示された物を取りに部屋から出て行ってしまった。
誰にも見つからず、必ずひとりでこの部屋に戻ってくるだろう。
たとえ、誰かに見とがめられたとしても、うまく誤魔化すはずだ。
何故なら、もしも、このことが知られてしまえば、無断でファルクをサラの部屋に通したことを咎められ、処罰を受けるのは彼女自身なのだから。
そうならないためにも必死になるだろう。
ハルはようやくサラを振り返る。
困ったことに、泣き出してしまったのは侍女だけではなかった。
サラに向けるハルのその顔には、先ほどまで侍女に向けていた厳しい色はすっかりと消えていた。
ベッドから下り、走り寄ってきたサラが飛びつくように抱きついてきた。
胸に顔をうずめ声を殺すように泣いている。
「サラ……?」
何故、自分がこんな目にあわなければいけないのだといわんばかりの非難の目であった。
「いいから」
短剣を持つハルの手が振り上げられた。
「早く言われた物を用意してこい」
ハルの手から放たれた短剣が、音をたて刃を震わせ侍女の耳の脇の壁に突き刺さる。
最後に、なけなしの侍女の反抗心を打ち砕く。
「ひっ!」
「ハルっ!」
上がった悲鳴は二つ。
侍女は腰が抜けた状態のまま、這いつくばって指示された物を取りに部屋から出て行ってしまった。
誰にも見つからず、必ずひとりでこの部屋に戻ってくるだろう。
たとえ、誰かに見とがめられたとしても、うまく誤魔化すはずだ。
何故なら、もしも、このことが知られてしまえば、無断でファルクをサラの部屋に通したことを咎められ、処罰を受けるのは彼女自身なのだから。
そうならないためにも必死になるだろう。
ハルはようやくサラを振り返る。
困ったことに、泣き出してしまったのは侍女だけではなかった。
サラに向けるハルのその顔には、先ほどまで侍女に向けていた厳しい色はすっかりと消えていた。
ベッドから下り、走り寄ってきたサラが飛びつくように抱きついてきた。
胸に顔をうずめ声を殺すように泣いている。
「サラ……?」

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