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令嬢は元暗殺者に恋をする
第60章 報復 -1-
「もうすぐだ。もうすぐ地位も名誉も何もかも、この私の手に転がり落ちる。私は最高に運のいい男だ! そして、それらを手にするだけの価値のある男なのだ」
グラスを持った手を高々とあげ、喉を鳴らしてくつくつと肩を揺らし、忍び笑いをもらす。
空になったグラスに新たな葡萄酒を注ごうと瓶に手を伸ばしたその時、ゆらりとテーブルに置かれた燭台の蠟燭の炎が揺れ動くのに眉をひそめた。
閉めてあるはずのバルコニーの窓から緩やかな風が流れ込んできた。
半分腰を浮かせ、ファルクはバルコニーへと目を凝らす。
バルコニーの入り口、揺れるカーテンの向こう、月明かりに照らされたその場所にたたずむひとりの黒い人影。
手にしたワイングラスをテーブルに置き、咄嗟にファルクはかたわらの剣をつかんだ。
侵入者はカーテンに手をかけ部屋へと足を踏み入れた。
「だ、誰だ!」
ファルクは剣の鍔に親指をかけゆっくりと抜き放つ。
鞘走る無機質な音が静謐な部屋に響き渡る。
抜き身の刀身が、虚ろげに揺れる蠟燭の炎を受けて仄かに光る。
姿を現したその侵入者──ハルは、窓の縁に寄りかかり、腕を組んでファルクを見据えた。
グラスを持った手を高々とあげ、喉を鳴らしてくつくつと肩を揺らし、忍び笑いをもらす。
空になったグラスに新たな葡萄酒を注ごうと瓶に手を伸ばしたその時、ゆらりとテーブルに置かれた燭台の蠟燭の炎が揺れ動くのに眉をひそめた。
閉めてあるはずのバルコニーの窓から緩やかな風が流れ込んできた。
半分腰を浮かせ、ファルクはバルコニーへと目を凝らす。
バルコニーの入り口、揺れるカーテンの向こう、月明かりに照らされたその場所にたたずむひとりの黒い人影。
手にしたワイングラスをテーブルに置き、咄嗟にファルクはかたわらの剣をつかんだ。
侵入者はカーテンに手をかけ部屋へと足を踏み入れた。
「だ、誰だ!」
ファルクは剣の鍔に親指をかけゆっくりと抜き放つ。
鞘走る無機質な音が静謐な部屋に響き渡る。
抜き身の刀身が、虚ろげに揺れる蠟燭の炎を受けて仄かに光る。
姿を現したその侵入者──ハルは、窓の縁に寄りかかり、腕を組んでファルクを見据えた。

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