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令嬢は元暗殺者に恋をする
第61章 報復 -2-
いいところを邪魔されたという顔でちっと舌打ちをし、ファルクは目の前の侵入者から決して視線をそらさず、そろりと扉へと向かい薄く扉を開く。
扉の向こうで何者かがファルクに用件を告げている。
その相手に、ファルクは何か言葉を返すわけでもなく、ただ何度か無言でうなずくだけであった。
ひそひそ声であったため、会話の内容まで聞き取ることができなかった。
相手の顔を見ることができれば、唇の動きから、話している言葉を読み取ることができるが、それはかなわなかった。
扉を閉め、ゆっくりと振り返ったファルクはにやりと笑った。
もしかしたら、やってきたその人物に侵入者が現れたと助けを求めるかと思っていたが、何故かファルクはそうしなかった。
よほど、己の腕に自信があるのか。
それとも……。
この俺を甘くみているのか。
だとすれば、ここで助けを求めなかったことを、後ほどこの男は深く悔やむであろう。
「なるほど、私の計画を聞いても、いまひとつ反応が鈍いと思っていたのはそういうことだったというわけか。正直、私もどうしたものかと思っていたのだよ。おまえは異国の人間だ。私の語る言葉が理解できずにいるのかと。だが、そういうふうでもなさそうだ。ならば、理解はできても、その薄ぼんやりとした脳みそでは整理しきれていないのではとね。だが、残念だったね。たった今、情報が入った。おまえにとっては最悪のものだろうが。聞きたいかね? 聞きたいであろう」
もったいつけるように、言葉を濁すファルクの態度に、さすがに苛立ちを覚え始めた。
ただでさえ、この男の口調と長々としたお喋りには不愉快な思いを感じ続けていたのだ。
互いの顔を探るように、ファルクは相変わらずの気色の悪いにやにや笑いを浮かべ、ハルは動き出したい衝動を、手を強く握りしめ耐えていた。
「では、聞かせてやろう。いや、おまえは聞くべきだ」
決して短気ではない方だ。
だが、おそらく、あと一息ファルクが口を開くのを遅かったら、行動を起こしていたかもしれない。
目の前の男に飛びかかり、痛めつけさっさと吐けと脅していただろう。
「あの小娘がトランティアの屋敷へと戻ったようだ。いや、連れ戻されたという方が正しいかな」
扉の向こうで何者かがファルクに用件を告げている。
その相手に、ファルクは何か言葉を返すわけでもなく、ただ何度か無言でうなずくだけであった。
ひそひそ声であったため、会話の内容まで聞き取ることができなかった。
相手の顔を見ることができれば、唇の動きから、話している言葉を読み取ることができるが、それはかなわなかった。
扉を閉め、ゆっくりと振り返ったファルクはにやりと笑った。
もしかしたら、やってきたその人物に侵入者が現れたと助けを求めるかと思っていたが、何故かファルクはそうしなかった。
よほど、己の腕に自信があるのか。
それとも……。
この俺を甘くみているのか。
だとすれば、ここで助けを求めなかったことを、後ほどこの男は深く悔やむであろう。
「なるほど、私の計画を聞いても、いまひとつ反応が鈍いと思っていたのはそういうことだったというわけか。正直、私もどうしたものかと思っていたのだよ。おまえは異国の人間だ。私の語る言葉が理解できずにいるのかと。だが、そういうふうでもなさそうだ。ならば、理解はできても、その薄ぼんやりとした脳みそでは整理しきれていないのではとね。だが、残念だったね。たった今、情報が入った。おまえにとっては最悪のものだろうが。聞きたいかね? 聞きたいであろう」
もったいつけるように、言葉を濁すファルクの態度に、さすがに苛立ちを覚え始めた。
ただでさえ、この男の口調と長々としたお喋りには不愉快な思いを感じ続けていたのだ。
互いの顔を探るように、ファルクは相変わらずの気色の悪いにやにや笑いを浮かべ、ハルは動き出したい衝動を、手を強く握りしめ耐えていた。
「では、聞かせてやろう。いや、おまえは聞くべきだ」
決して短気ではない方だ。
だが、おそらく、あと一息ファルクが口を開くのを遅かったら、行動を起こしていたかもしれない。
目の前の男に飛びかかり、痛めつけさっさと吐けと脅していただろう。
「あの小娘がトランティアの屋敷へと戻ったようだ。いや、連れ戻されたという方が正しいかな」

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