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令嬢は元暗殺者に恋をする
第61章 報復 -2-
悦に入った顔で、自分の計画に酔いしれ、上機嫌に滔々と語っていたファルクだが、ふと現実に引き戻されたように真顔になりハルを見据える。
「だってそうだろう? 私が死んで、代わりに他の誰かがあの娘と婚姻を結び、いい思いをするのは許せないとは思わないかい? あの娘はこの私の所有物(もの)だ。この私がのし上がるための道具だ!」
言葉を発することもなく、ハルは静かな目でファルクを見やる。
「そういえば少し前に、そう、あれは確か夏の初めだったかな。おまえももちろん知っているだろう? カーナの森で二十人以上の賊を相手にし、皆殺しにしたという、とんでもない強者がいたことを。その話を聞いた時は、さすがの私も驚いてしまったよ。ひとりで多数の賊を相手に戦うとは、いったい、どれだけ頭のいかれた馬鹿なのか……顔のひとつでも見てみたいものだ。何なら、そいつに助けを求めてみたらどうだ? そいつが捕らえられたという話は聞いていないからね。まだこのアルガリタの町のどこかに潜んでいるかもしれない。もっとも、今回はただの賊ではなく、殺しに長けた一流の暗殺者たちが相手となるがね。さあ、私の計画はすべて話した。おまえはどうする? とはいえ、私のこの計画を聞いたところで、おまえには何もできやしない」
そこへ、静かに扉の叩く音とともに、ファルク様と呼びかける声が聞こえた。
「だってそうだろう? 私が死んで、代わりに他の誰かがあの娘と婚姻を結び、いい思いをするのは許せないとは思わないかい? あの娘はこの私の所有物(もの)だ。この私がのし上がるための道具だ!」
言葉を発することもなく、ハルは静かな目でファルクを見やる。
「そういえば少し前に、そう、あれは確か夏の初めだったかな。おまえももちろん知っているだろう? カーナの森で二十人以上の賊を相手にし、皆殺しにしたという、とんでもない強者がいたことを。その話を聞いた時は、さすがの私も驚いてしまったよ。ひとりで多数の賊を相手に戦うとは、いったい、どれだけ頭のいかれた馬鹿なのか……顔のひとつでも見てみたいものだ。何なら、そいつに助けを求めてみたらどうだ? そいつが捕らえられたという話は聞いていないからね。まだこのアルガリタの町のどこかに潜んでいるかもしれない。もっとも、今回はただの賊ではなく、殺しに長けた一流の暗殺者たちが相手となるがね。さあ、私の計画はすべて話した。おまえはどうする? とはいえ、私のこの計画を聞いたところで、おまえには何もできやしない」
そこへ、静かに扉の叩く音とともに、ファルク様と呼びかける声が聞こえた。

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