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令嬢は元暗殺者に恋をする
第62章 報復 -3-
「さっきまで、一言も口を開かず、間抜け面でおとなしくしていたと思えば」
「貴様が得意げに何もかも喋りつくすのを、邪魔をしないようにと耐えていただけだ。おかげで、見逃せない事実も手に入れることができた。貴様は自分で自分の首を絞めたことに気づいていないだろう」
「暗殺者のことか? あの娘のことか?」
さあ、と答えるハルに、ファルクは一瞬考え込むように眉をひそめた。
案の定、いろいろなことを思いつくまま喋りすぎて、自分で何を口走ってしまったのかわからないという顔だ。
「くそ……黙れ黙れ!」
「騒いでいるのは貴様の方だろう」
「く……あくまでも剣を抜かないというのだな」
「だから、俺に遠慮などせずに、かかってくればいい」
「後悔させてやるぞ」
「後悔? 誰にどう後悔させるという?」
「そのきれいな顔を切り刻み、苦痛に歪ませてやる。この部屋から無事な姿で帰ることができるとは思わないことだ。だが、安心するといい。殺しはしない。私の足下にひれ伏させ、捕らえてしばらくの間、この私が飼ってやろう。鎖にでも繋いでな。そうだ、二度とこの私に減らず口が叩けないように、おまえを厳しくしつけてやる。そして、あの娘が徐々に弱って死んでいく姿を、その目で見るのだ」
目を剥き、唾を飛ばしてファルクは憤る。
ファルク自身は気づいていないであろう。
それはどこか追いつめられた犬がむだに吠えているようにも見えた。
ハルは右手の指の関節を鳴らした。
ぱきりと小気味よい音が鳴る。
「一瞬だ」
「は?」
「一瞬で貴様を沈めてやる」
「沈めてやるだと? ふ、偉そう……」
「しっかり気を張っておけ。でないと、意識を飛ばすことになるぞ。もっとも、気を失ってもすぐに目を覚まさせてやる。そう簡単には楽にはさせない。許しはしない。覚悟しろ」
「武器も持たず、女のような細腕で、この私をどうにかできると思っているのか」
「すぐにわかる」
「そうやって余裕の顔でいられるのもいまのうちだ!」
そして、ファルクは剣を手に一気にハルの元へと踏み込んできた。
「貴様が得意げに何もかも喋りつくすのを、邪魔をしないようにと耐えていただけだ。おかげで、見逃せない事実も手に入れることができた。貴様は自分で自分の首を絞めたことに気づいていないだろう」
「暗殺者のことか? あの娘のことか?」
さあ、と答えるハルに、ファルクは一瞬考え込むように眉をひそめた。
案の定、いろいろなことを思いつくまま喋りすぎて、自分で何を口走ってしまったのかわからないという顔だ。
「くそ……黙れ黙れ!」
「騒いでいるのは貴様の方だろう」
「く……あくまでも剣を抜かないというのだな」
「だから、俺に遠慮などせずに、かかってくればいい」
「後悔させてやるぞ」
「後悔? 誰にどう後悔させるという?」
「そのきれいな顔を切り刻み、苦痛に歪ませてやる。この部屋から無事な姿で帰ることができるとは思わないことだ。だが、安心するといい。殺しはしない。私の足下にひれ伏させ、捕らえてしばらくの間、この私が飼ってやろう。鎖にでも繋いでな。そうだ、二度とこの私に減らず口が叩けないように、おまえを厳しくしつけてやる。そして、あの娘が徐々に弱って死んでいく姿を、その目で見るのだ」
目を剥き、唾を飛ばしてファルクは憤る。
ファルク自身は気づいていないであろう。
それはどこか追いつめられた犬がむだに吠えているようにも見えた。
ハルは右手の指の関節を鳴らした。
ぱきりと小気味よい音が鳴る。
「一瞬だ」
「は?」
「一瞬で貴様を沈めてやる」
「沈めてやるだと? ふ、偉そう……」
「しっかり気を張っておけ。でないと、意識を飛ばすことになるぞ。もっとも、気を失ってもすぐに目を覚まさせてやる。そう簡単には楽にはさせない。許しはしない。覚悟しろ」
「武器も持たず、女のような細腕で、この私をどうにかできると思っているのか」
「すぐにわかる」
「そうやって余裕の顔でいられるのもいまのうちだ!」
そして、ファルクは剣を手に一気にハルの元へと踏み込んできた。

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