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令嬢は元暗殺者に恋をする
第63章 報復 -4-
「とてつもない人物?」

「そうだ」

「その人物とは誰だ」

「ふふふ、今は言えないな。だが、聞けば間違いなく驚く……」

「誰だと聞いている」

 つかんでいたファルクの胸ぐらを、さらにぎりぎりと締めあげる。

「ひっ!」

 声が出せる程度には手加減したつもりだが、ファルクは苦しい喉を潰されると、大袈裟な悲鳴を上げ始めた。

「わ、わかった、わかったから……言うから、だからそんな怖い顔をするな。暴力はいけないよ暴力は。ここは穏便に。そう、聞いて驚くな……」

 相変わらずもったいぶった物言いをするファルクは一呼吸ため、まるで内緒話をするように声をひそめ、そのとてつもない人物とやらの正体を口にする。

「女王陛下だ」

 ファルクは凄いだろうと、得意満面に鼻を膨らませる。

「女王陛下だぞ! 女王陛下がこの私に目をかけてくださったのだ」

 へえ、と興味深そうに声をもらすハルに、してやったりとファルクは口の端を歪める。

 自分の背後には女王の存在がいると明かした途端、話に食いついたのだと思ったのだろう。

 いや、食いついたのは事実だ。
 だが、この男の思惑とはまったく違う意味でだが。

 ファルクの胸ぐらをつかんでいたハルの手が緩む。
 すかさず、ファルクは身を引き、背後の壁に背をついて座り込む。

 偽りの女王、イザーラ……と、胸中で呟き、ハルは腰のあたりに手をあてる。
 指先に触れたのは、剣を飾る真紅の紐──。


「はは、驚いたか?」

 そこでファルクは、今さらながらにハルの容貌を見てはっとする。

「……女王陛下は北の大陸、レザン・パリューに大変興味を抱いておられる。よくよく見れば、おまえはレザンの人間だな。そうだろう? 間違いないな? よし、この私がおまえを女王陛下に引き合わせてあげよう。そうだ! おまえはレザンにあるという組織を知らないか? 女王陛下はその組織とやらを長い間探しているらしい。何の組織かまでは私も詳しくは知らないが、レザンの人間であるおまえなら、もしかしたら知っているかもしれないだろう? もし、知っていれば、女王陛下はなおいっそうお喜びになるはず。どうだ?」

 どうだ? と問いかけるファルクに、ハルはまなじりを細めた。
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