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令嬢は元暗殺者に恋をする
第63章 報復 -4-
「貴様から金などもらわなくとも、じゅうぶん稼いだ」
「稼いだ、だと?」
ファルクはふはっと鼻を鳴らし嘲笑う。
「おまえがいったい何の仕事をしているのか知らないが、庶民のおまえになど想像もつかない額だぞ。それをくれてやると言っているのだ。いくら欲しい? そうだな……」
これでどうだ? と金額を口にするファルクをハルは冷ややかな目で見下ろす。
言葉を発しないハルに、己が提示した額に不満を抱いて首を縦に振らないのだと勘違いをするファルクは、ならばと、少しずつ金額を上乗せしていくが、やがて、その顔に焦りが生じ始める。
「まさか、まだ、足りないというわけでは……」
いくらでも、好きなだけ金をくれてやろうと言ったわりには、徐々に上がっていく金額にファルクは片頬をひくつかせる。
「俺の価値はその程度か。ずいぶんと安くみられたものだな」
「そ、そ、その程度だと……ばかを言うな。これでも、そうとうな額ではないか! 何が不満だという。汗水たらして働かずとも、しばらくは遊んで暮らせ……」
「俺ひとりを動かすのに、どれほどの金が流れるか知っているか? 貴様になど想像もつかない額だ」
「は?」
ハルはわずかにまぶたを落とす。
「……昔の話だ」
「昔?」
言っている意味がさっぱりわからないと、ファルクはぽかんと口を開けている。
「な、なら、この私の側仕えとして雇ってやってもいい。おまえほどの腕のたつ者なら、私の護衛としてもじゅうぶん役に立つ。最高の待遇でおまえを迎えてやろう。悪い話ではないだろう? それだけではない! それだけではないぞ。私の背後には、とてつもない人物がついているのだ」
金でこの場をおさめようというのならまだしも、この男を叩き潰してやると言っているのに、何故、護衛云々の話を持ち出してくるのか。
それどころか、剣術大会で優勝するほどの腕前を持つと自慢しておきながら、どうして、護衛が必要なのかも意味不明だ。
だが、そのことには、あえて触れることはしなかった。
それよりも、この男が口にした、とてつもない人物とやらが気にかかったからだ。
「稼いだ、だと?」
ファルクはふはっと鼻を鳴らし嘲笑う。
「おまえがいったい何の仕事をしているのか知らないが、庶民のおまえになど想像もつかない額だぞ。それをくれてやると言っているのだ。いくら欲しい? そうだな……」
これでどうだ? と金額を口にするファルクをハルは冷ややかな目で見下ろす。
言葉を発しないハルに、己が提示した額に不満を抱いて首を縦に振らないのだと勘違いをするファルクは、ならばと、少しずつ金額を上乗せしていくが、やがて、その顔に焦りが生じ始める。
「まさか、まだ、足りないというわけでは……」
いくらでも、好きなだけ金をくれてやろうと言ったわりには、徐々に上がっていく金額にファルクは片頬をひくつかせる。
「俺の価値はその程度か。ずいぶんと安くみられたものだな」
「そ、そ、その程度だと……ばかを言うな。これでも、そうとうな額ではないか! 何が不満だという。汗水たらして働かずとも、しばらくは遊んで暮らせ……」
「俺ひとりを動かすのに、どれほどの金が流れるか知っているか? 貴様になど想像もつかない額だ」
「は?」
ハルはわずかにまぶたを落とす。
「……昔の話だ」
「昔?」
言っている意味がさっぱりわからないと、ファルクはぽかんと口を開けている。
「な、なら、この私の側仕えとして雇ってやってもいい。おまえほどの腕のたつ者なら、私の護衛としてもじゅうぶん役に立つ。最高の待遇でおまえを迎えてやろう。悪い話ではないだろう? それだけではない! それだけではないぞ。私の背後には、とてつもない人物がついているのだ」
金でこの場をおさめようというのならまだしも、この男を叩き潰してやると言っているのに、何故、護衛云々の話を持ち出してくるのか。
それどころか、剣術大会で優勝するほどの腕前を持つと自慢しておきながら、どうして、護衛が必要なのかも意味不明だ。
だが、そのことには、あえて触れることはしなかった。
それよりも、この男が口にした、とてつもない人物とやらが気にかかったからだ。

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